検索窓
今日:13 hit、昨日:4 hit、合計:131,463 hit

1頁 ページ2

Aside

降りしきる雨。
転がる傘。
崩れ落ちる私。

この状況だけで詩が書ける。

わたくし、篠山 A。
たった今、彼氏にふられました。

原因は彼の浮気。
現場に突撃したら「別れる」と言われました。
しつこい女は無理なんだとか。

3年付き合って、同棲もして。
今更こんな別れ方かよ。
お前そのしつこい女と3年もいたのかよ。
1度もしつこいとか言われたことねぇよ。


....家からは追い出されるみたい。

上京して就職してるし実家にも戻れない。

溢れ出る涙と絶望と憎しみを抑えることが出来なかった。

ぐちゃぐちゃになった
感情たちの放出の仕方すら分からず

とりあえず放心中。

雨に打たれながら感情の整理をする。

私が死ぬのが先?
憎い彼氏と浮気相手を殺すのが先?

いや、まず家がないんだもん。
あ、まずは荷物取りに行かなきゃだよね。
そのついでにあいつ殺そう。
んで、私も死のう。

そう決心しようとした瞬間。

体に当たる雨が止んだ。

止んだのではない。
雨が体に当たらなくなった、と言う方が適切かも。



「あの、大丈夫、ですか?
服やばいですよ?」



コンビニ袋をぶら下げたジャージの青年?がしゃがんで傘をさしてくれていた。

青年?の方をジッと見て、また視線を外す。

きみは神なのか?
いや、神なんて居ない。
いるならこんな仕打ちあんまりだ。

「いや、たった今家がなくなりまして...」

この青年?にこんなこと言っても無駄だと分かってるけど、吐き出すだけで楽になれた気がした。
涙はまだ止まらない。
もはや雨が涙かわからない。

心もぐしゃぐしゃ、顔もぐしゃぐしゃ。

やっぱり今すぐ死のう。
そんで奴を呪い殺そう。

「あのー、行く場所ないなら


うち来ます?」

え?もう1回言って欲しい。
私の耳が腐っているのか?

「だから、うち来ます?」

キョトンとした顔になっていたのか、少し大きめの声で繰り返してくれた。

「で、でも、見ず知らずの人間を、なんて申し訳ないですよ。私はどこかに消えますんで。」

せっかくのご厚意だが、受け取るのも厚かましい。
雨風を防げる場所へ移動しようと立ち上がる。

「そんなびちょびちょで何言ってんすか。」

青年?は半ば強引に私の手を掴んで歩き出した。

「これ、あなたの傘ですよね。」

自分の傘を握らされ、ただ手を引かれるがままに歩く。

「俺ん家近いんで我慢してくださいね。」


やっぱり神様、いるかもしれない。

2頁→←【人物】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (89 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
240人がお気に入り
設定タグ:キヨ , 最俺
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

まな太郎(プロフ) - らいちさん» ありがとうございます!!!! (2019年12月22日 8時) (レス) id: b78b8c39a7 (このIDを非表示/違反報告)
らいち(プロフ) - 素敵です!!!!!!!!! (2019年12月22日 1時) (レス) id: e58ce47c5b (このIDを非表示/違反報告)
まな太郎(プロフ) - くらっかーさん» そこつっこんだら某ネズミ君に食べられますよ(真顔)コメントありがとうございます!!! (2019年12月21日 23時) (レス) id: b78b8c39a7 (このIDを非表示/違反報告)
くらっかー - ○が仕事してないじゃないですかww好きですよそういうの(真顔) (2019年12月21日 18時) (レス) id: 34f4d10117 (このIDを非表示/違反報告)
まな太郎(プロフ) - ぬこぬこ。さん» 深夜テンションを褒めてくださるなんて(TT)ありがとうございます!がんばります! (2019年12月20日 21時) (レス) id: b78b8c39a7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まな太郎 | 作成日時:2019年12月6日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。