合否通知！合格発表の時間です ページ10
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「雄英からだってー」
休日の朝家に響いたママの声。
たった今起きて歯を磨いていた私は、手に持っていた歯ブラシをポロッと落とした
「合否通知来たの！？」
「多分ねー！とりあえず歯磨きなさい！！」
「はあい」
いつもより心底早めに手を動かす。口を3度ゆすいで、磨き残しがないか鏡でしっかりと確認。頬を1度だけペシっと叩いて「よし！」と気合いをいれる。
リビングのテーブルの上に置かれた二通の手紙を手に持って、我が家の階段を騒がしく上って行く。
見慣れた部屋のドアを目の前に、ノックも何もせず私はその扉を蹴破った。
「おにーちゃん！！合否！来た！！」
「あ”ァ？クッソ、ねみぃな…寝かせろ…、っておい毛布返せクソが！！」
「雄英からの合否通知来たってばー！！！」
道場破りの如く大声でお兄ちゃんを起こそうとする。
が、普段からこの声量になれているこの家の人間、しかもお兄ちゃんが起きるはずもなく。
ご丁寧にかけられた毛布を、アニメ宜しく剥ぎ取ってやった。
案の定それにブチ切れて飛び起きるお兄ちゃん。そして再び要件を伝えると今度は目をかっぴらいて私の手に握られている手紙を一通奪い取った。
「あ、そっち私の」
「最初から俺の渡せや！！！」
「奪ったのお兄ちゃんでしょ！？」
「知らねーよ！！」なんて言いながら、手紙の封を切る手は丁寧だ。
お兄ちゃんの爆発的にうるさい普段の態度からは想像出来ないペリペリ、なんて小さな紙切れの音をこの部屋に響かせるお兄ちゃんの様子をジッと見ていると、ふいにその吊り上がった赤い瞳と目が合った。
「テメェも開けろや」
「え」
「俺のは見てテメェのは見せねぇとでも言うんか！！俺は許さねェ！！」
「み、見せるって！見せるってば！！」
後でドキドキしながら1人で合否通知開けようと思ってたのに！！
なんでお兄ちゃんの隣でビクビクしながら開けなきゃいけないわけ！？
なんとなく悔しくなりながらお兄ちゃんと同じように手紙の封をペリペリと切る。その中からは
「き、かい…？」
「ンだこの丸いの」
コロン、と軽い音をたてて機械のような物が出てきた。
それはお兄ちゃんの机の上に転がってまるで動く気配はない。
少し叩いてみても、叩いた通りにコンコンとしか鳴らないし、変な細工がされているとかいう訳でも無いみたいだった。
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