”幼馴染”ですから！ ページ8
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「あ！出久くーん！」
「Aちゃん…！？と、かかか、かっちゃん…！」
「ついでみてェな言い草すんじゃねーよクソナードォ！！」
ひいっと小さな悲鳴をあげる出久くんに、少しだけ申し訳なくなった。
「声がデカい！！！！」
「あ”ァ！？テメェに言われたかねぇわドアホ！！！」
「そんな顔するから小さい子に怖がられるんでしょー！？」
「あ、ハハ……(どっちもどっちなんだよなぁ…)」
帰り道、こうして出久くんとお兄ちゃんとごちゃごちゃ騒ぎながら帰るのは小学生ぶりだ。
いや、出久くんは騒いでないんだけどね。主に私とお兄ちゃんなんだけどね。
お兄ちゃんは出久くんの事を目の敵にする割に、私と3人で帰る時は必ず出久くんを真ん中にするのだ。出久くんは私とお兄ちゃんを交互に見比べて、なんでとでも言いたそうな顔をするが、仕方ない。
意図しなくても出久くんが真ん中になってしまうんだから。
だって寧ろ私たち兄妹を止められる人間なんて出久くんしか居ないよ。ママは別ね。
ママを除いたら出久くんくらいだと思う。なんてったって彼は私たちの幼馴染だからね！分析得意で頭の良い出久くんには、私たちを止めることなんて造作もないことだと思う。良くも悪くも単純な私たちだもん。扱いやすい筈だよね。
「あ、出久くん！怪我とかしてない？大丈夫？」
「エッ」
「ケッ、どうせリカバリーガールに治してもらったんだろクソが」
ビクッと肩を揺らし、額から流れるのは尋常じゃない量の汗。
そして右腕をサッと隠し、動揺しているその様は「僕は右腕を怪我しました」と体全体で訴えているようなものだったのは文面だけてもお分かりいただけただろうか。
そしてそんな出久くんを見るお兄ちゃんの目は、明らかに引いている。
「テッ……テメェそんなきめェ動きすんじゃねェよ！！キメェ！！」
「2回！！！」
「たりめぇだろ！！きめェモンはきめェんだよ！！」
お兄ちゃんの「きめェ」ラッシュに出久くんの顔が形容しがたい事になってる。なんと表そうか…。眉間に皺がより、口をクッとすぼませ、瞳を閉じている…一言で言えば顔文字。顔文字にありそうな顔をしている。
なるほど。顔文字とは人類が再現出来る顔のものしか使われないのか、と今理解した。
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