雄英を志す理由。 ページ1
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「お、爆豪妹惜しかったなぁ。兄の方は満点だったんだけどな」
そんな言葉を、毎日のように聞いてきた。
私、爆豪Aには双子の兄が居る。
爆豪勝己。誰に対してもつっけんどんで生意気な態度を取り、とても口が悪い。だがその反面、勉強も運動も出来て、やればなんでも"並大抵以上"には出来てしまう天才肌。
幼い頃から私は兄が羨ましかった。
「ねえ、お兄ちゃん」
「あ？」
「お兄ちゃんみたいに、ユーシューになるにはどうしたら良いの？」
「はッ、お前は今のままでいいんだよ。俺の妹なんだからな」
兄にはいつもそう言われる。
「俺の妹だからこのままでいい」という言葉にはどういう意味が込められているのか、私にはよく分かった。でも、私はそんな兄の期待には応えられない。応えられる程の才能なんて、持ち合わせてなかった。
「ママ……私______」
"お兄ちゃんと、別の中学に行きたい"
周りからの期待と、兄からの期待に押し潰されそうになった私は逃げることを選択した。同じ学校に居たら、教師からも周りのクラスメイトからも、そして他学年からも好奇の目で見られる。「あんな才能の塊が2人も居るのか」と。
そんな目で見られるのが、心底疲れたのだ。
母はそれを快諾してくれた。寧ろ、何かを察したように「私はAの味方だからね。無理に取り繕おうとしないで」と、昔のように頭を撫でて言ってくれた。
春、中学に上がった。別の中学に進学することを兄に伝えていなかったからか、一緒に登校するぞと言われたけど、それを断った。「別の中学に進学する」と伝え、目の前で兄の反応を見るのが怖かった私はすぐに逃げ出した。
その日家に帰っても、兄からは何も言われなかった。
中学は別の所に進学したけど、兄との仲が拗れた訳では無かった。兄はあくまで"今まで通り"に接してくれたけど、それがどうしようもなく申し訳無かった。
「オイ、A」
「ん？なに？お兄ちゃん」
「お前、高校どこ行くんだよ」
「あー、迷ってる…かなぁ」
「なら雄英来いや」
そう言われたのは突然の事だった。中2の春、兄にそう言われた。兄は幼い頃から「オールマイトをも超えるNo.1ヒーロー」を目指していたから、なんとなく雄英に行くことはわかっていたけど。
"兄に言われたから"私は雄英を目指した。
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