【名探偵コナン】ようじになりました

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灰原side










喉が渇いて、すぐ近くにある自販機に飲み物を買いに出た。


江戸川くんから、Aくんはアイスクリームソーダが好きらしいと聞いて、そういえば自販機で見たことあるなと思ったから。




「……まさか、ね」




帰ってきたら、まさかソファで丸まって寝てるなんて思わないでしょ。


スー、スーと気持ちの良さそうな寝息とは反対に、その顔はあまりにも見ているだけで苦しくなるような、辛そうな顔で。




「……お、かあ…さ…」


「……。」




その寝言に、思わず息をのむ。


そうよね。どれだけ大人びて、変わった環境にどれだけ順応していても、子供は子供。お母さんが亡くなって、周りに知らない人が沢山居て。





「…不安じゃない訳ないわよね」





辛そうな顔からたった1滴、零れ落ちていた涙を人差し指ですくう。



こんなに辛そうなのに、たったそれだけしか涙を零さないなんて。

寝ているというのもあると思うけど、たったそれだけの事が彼の完成度を示していて無性にも悲しくなる。




「ソファじゃ体痛めるってこと、教えなくちゃ」





明日、学校に行く前に話すことを考えながら小さい小さい体を持ち上げて自分の部屋に降りていく。



明日からお昼は博士とこの子の2人きり。博士だって年中暇というわけではないから、この子をどこかに預けるなんて事はざらにあるだろう。


何より不安なのは、その時に黒ずくめの組織の奴らと出会ってしまう事。特に……ジン。既に顔を合わせていて、かつこの子はジンの名前をハッキリ覚えている。あんなに特徴的な容姿をした男を、こんな子供が忘れるはずがない。


江戸川くんほど好奇心旺盛では無いとはいえ、危険なことに変わりは無い





「……変なこと、伝えない方が良いかしら」




この子は賢いから「危ない人だ」と伝えてしまえば分かるだろうか。


それで深追いされても誤魔化してしまえば……。触れてはいけない事だと理解してくれるだろうか。




……はぁ。私はこんな小さな子に何を求めているんだろう。





「あら…」




苦しそうだった顔はいつの間にか、安らかな寝顔に変わっていた。



何を迷っていたのかしら。この顔を、幸せを。彼を守るのならば。何も知らないこの純真無垢な子供のまま……。








「……おやすみなさい」

















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