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「何をのんだんです!!」
「…遅効性、の毒薬…。簡単に、世に出回って、いるしね…」
「安室さん!!なんか無い!?解毒剤とか、」
「何をのんだか分からない限り、他の薬は逆効果だ!!」
2人の異質な雰囲気に周りも気圧される。近くにいた刑事は救急隊員を呼びに通りへ駆けていった。褐色肌の青年と中睦まじそうにしていた2人の刑事は蹲る女の傍にいた小さな子供に寄り添っている。
ふと、小さな子供と女の目が合った
「……A、あなた…そんなふうに、泣くのね…」
「……え、」
「…。もっと、いろんな、顔が……見たかったわ」
「な、いてないし…。みせるからさ、わらうし、なくし、おこるから、だから…だから、おねがい…。なにをのんだか、とおるおにいさんにおしえてよ、ねえ、おかあさん、」
「…そっかぁ。笑って、泣いて、怒って…。普通の子と、なにも変わらないのね……、少し、大人びていた、だけで……お母さん、安心したわ…」
「ねえ、しゃべらなくていいよ、のんだくすりはやくいって、それだけでいいから、おねがい、おかあさん…!ねえ!!」
「…。ごめんね…、私より、あなたの事を、分かって…、くれる人が、絶対いるから…。幸せに、できなくてごめんなさい……」
そこまで言った女はもう言い残したことは無い、とでも言うように静かに目を閉じた。苦しそうに肩で息をしている彼女の所へ救急隊員がやって来て、担架に乗せて救急車の中へ運ばれる。
ピーポーピーポーと音を鳴らして走り去っていく救急車を、全員が見つめていた
「……Aくん…」
「…。こなんくんたちは、かんちがいしてたみたいだけど。ぼくはぎゃくたいなんてうけてないよ」
「……」
「ぼくが、じぶんからおかあさんとかかわらなかったんだ。……ひけめを、かんじて。だから、おかあさんもぼくも、おたがいのことにくわしくない」
「そう、なんだね」
「けがだって、おかあさんにやられたものじゃなくて、ぼくのふちゅういなんだ。けがをしたばしょについては、うそをついたけど…。」
涙を流しながら震えた声で言葉を紡ぐ小さな子供の事を、沢山の目が見つめた。小さな子供が肩を震わせて、小さな嗚咽を漏らしながら泣いていることに気が付いたのは、傍にいたメガネの少年と褐色肌の青年だけだろう。
「おかあさんのこと、だいすきだった」
それはきっと、嘘じゃない
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ひかり(プロフ) - マニ。さん» コメント有難うございます!お返事大変遅くなって申し訳ないです( ; ; )面白いと言っていただけて嬉しいです!!ボードでの会話、ぜひ良ければお願いします🥹🫰 (3月27日 0時) (レス) @page47 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ひかりさん» ✉️。こんにちは!面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます! (2月25日 9時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - みッ!みッ!さん» コメント有難うございます!ページ26…あれは本当に勢いで書いたところがありまして…。皆様を泣かせたいと思いつつ、無理に終わりに持っていった感じが私の中ではあったのですが、無事に泣けたようで安心です😌😌 (2月18日 16時) (レス) @page36 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
みッ!みッ!(プロフ) - コメント失礼します。ページ26の最後でめっっちゃ泣いちゃいました…多分まだ序盤なのに…泣かせてくれてありがとうございます… (2月12日 17時) (レス) @page28 id: a5d82ccb68 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - ちょきさん» ご指摘有難うございます!わ、ホントですね…😮😮普通に書いてて無知を晒してるようで恥ずかしいです🙈🙈不快にさせてしまっていたら申し訳ないです🙏🙏 (1月22日 22時) (レス) @page32 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
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