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安室(降谷)side
「ば、ばーぼんさん、」
「どうしたんだい?」
「も、ちが、あのおじさんとめて、」
Aくんに呼ばれてそちらに顔を向けると、目いっぱいに涙を貯めた顔が見えた。僕の見ていたAくんは滅多に表情を変えない、他の子よりも感受性の弱い子だと思っていたのにこの変わり様は一体……?
松田もギョッとして「お、おい、降谷なんかしたのか!?」なんて馬鹿みたいなことを言っている。何もしてないのはお前が1番見ていただろ。自分の目を信じろ
「だめだよ、あのおじさんとめて、ばーぼんさんならできるでしょ、!」
「……悪いけど、僕には止められないんだ」
「なんで、!!だって、このままだと、」
次のAくんの言葉に、僕も松田も驚いた。
けれどきっと、その事にあの小さな探偵は辿り着いていたんだろうか。僕と松田とAくんが話していた裏で進んでいた推理は、もう終盤まで迫っていた。
「なにも、わるくないおかあさんが、つかまっちゃう、」
「Aさん。あなたは人を愛する事がとても上手な人だ」
まず思った事は「何故?」だと思う。人を殺しておいて、何も悪くない?この子は社会を知らなさすぎる。いくら情を持っていたとしてもこれは頂けない。
目の前の小さな子供に柄にもなく少しイラついていた僕は、急に暴れだしたAくんを思わず離してしまった。
「ちがう、!!たんていのおじさん!!」
「!A…。あなた、なんで…さっきのお兄さんは!?なんで出てきたの!!」
「お、かあさん……。」
母親の前に出て、彼女を庇うように両手をいっぱいに広げるAくん。急に出てきた事を叱られるAくんは眉を下げて悲しそうな顔をした。
「だって、だって…!おかあさんはなにもわるくないのに、」
「……A…。違う、違うのよ…」
「たんていさん!!」
決意を固めたような顔をしたAくんは、毛利さんに向かってゆっくり歩いていった。止めなければいけない事は分かってる。けど、止めてはいけない気がした。
隣の松田も同じなのか、手を忙しなく動かしては止め、眉間に皺を寄せて事を見守っている。
僕らの方へ視線を向けて「早く回収してくれ」とでも言わんばかりに焦るAくんの母親には申し訳無いが、僕らにはAくんを止めるという選択肢は微塵も無かった。
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ひかり(プロフ) - マニ。さん» コメント有難うございます!お返事大変遅くなって申し訳ないです( ; ; )面白いと言っていただけて嬉しいです!!ボードでの会話、ぜひ良ければお願いします🥹🫰 (3月27日 0時) (レス) @page47 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - ひかりさん» ✉️。こんにちは!面白いです!もしよろしければ一緒にボードで会話しませんか?これからも更新応援してます! (2月25日 9時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - みッ!みッ!さん» コメント有難うございます!ページ26…あれは本当に勢いで書いたところがありまして…。皆様を泣かせたいと思いつつ、無理に終わりに持っていった感じが私の中ではあったのですが、無事に泣けたようで安心です😌😌 (2月18日 16時) (レス) @page36 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
みッ!みッ!(プロフ) - コメント失礼します。ページ26の最後でめっっちゃ泣いちゃいました…多分まだ序盤なのに…泣かせてくれてありがとうございます… (2月12日 17時) (レス) @page28 id: a5d82ccb68 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - ちょきさん» ご指摘有難うございます!わ、ホントですね…😮😮普通に書いてて無知を晒してるようで恥ずかしいです🙈🙈不快にさせてしまっていたら申し訳ないです🙏🙏 (1月22日 22時) (レス) @page32 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
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