鬼ごっこが始まりまして。 ページ10
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「ちなみに、"青い監獄"で敗れ帰る奴はこの先一生日本代表に入る権利を失う。ここで勝ち上がるために必要なのは"エゴ"だ」
日本代表に入る権利を失う……。私は別に興味無いけど、他の人からしたら一大事だね。でも日本代表って事だから、別国なら全然問題ナッシングって事ね。
「今からその素質を測るための入寮テストを行う。
さぁ、"オニごっこ"の時間だ」
その言葉と共に部屋の中心の真上からガコン、と音がすると同時に天井が開いてサッカーボールが1つ落ちてきた。
「制限時間は136秒。ボールに当たった奴がオニとなり、タイムアップの瞬間にオニだった1人が
あと、ハンド禁止ねーと言っている途中にモニターがプツリと切れ、代わりに映し出されたのは1人の名前と252というランキング数値。……12人って事だから、この部屋で一番ランキングの低い人だ
「……俺かよ…。くっそ…。オイ、俺が誰に当てても恨むんじゃねぇぞッ!!」
そう言ったと同時にオニの子はボールを蹴った。そのボールは一直線に人が集まる部屋の角へ。
「おいあっち行け!!」
「押すんじゃねぇよ!!」
「なんでこっち蹴るんだよ!?」
"脱落したくない"という悲痛な叫びが部屋に響いて私の耳に届く。隣にいる下まつげくんは嫌に冷めた目でボールを追いかけていた。
そういえばサッカーの事を調べた時、オニごっこはプロの選手でもウォーミングアップでやる事があるってどっかの記事に書いてあったな。この時点で遊びじゃあ無いって事だ。妙に中途半端な136秒はきっと、1試合で1プレイヤーがボールを保持出来る時間。……となると部屋の広さも何か関係がありそう
残念ながらクラブチームでも部活でもサッカーとは全くの無縁の生活をしていたから、コートに立った事なんか無くて何の広さなのかは検討も付かない。
いろいろな事を考えていると明らかに自分に向いた敵意を感じた
「……下まつげくん」
「フン。こんな状況で考え事してる甘ちゃんは此処で脱落しとけ」
いつの間にか私の横から消えていた下まつげくんはオニからボールを奪って私へ向かってきた。そして振りの早い蹴りで私へボールを当てようとしてくる
「中途半端な奴が一番要らねぇ。ぬりぃんだよ」
絶対零度の冷たい瞳が私を突き刺した。
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