決着がつきまして。 ページ13
.
「あと30秒か」
「はぁ、なんでそんなに余裕そうなの…」
「余裕だからに決まってんだろ、アホか」
「一々鼻につく喋り方するなぁ」
足元でボールを固定している糸師くんは飄々とした顔でモニターのタイマーを見る。その余裕ぶっこいた表情を焦らせてやりたい。……失礼か、辞めとこ
取り敢えず脱落は勘弁だ。ボールを取り返さないと
「正面から向かってきたって____」
「右利きだと思った？残念、両利きなんだよ」
「なッ、」
私が真正面から糸師くんへ向かうと、予想通り左側にボールを流される。そりゃそうだ、私はここまで右足しか使って来なかった。右利きだと思われても仕方ない
右利きだと、左側に行ったボールに反応するのにはほんの少し遅れてしまう。仮に動けたとして、ボールを変な方向へ飛ばしてしまうのがオチだ。
けれど私はどちらも器用に使いこなす事の出来る両利き。どちらにボールが行っても完璧に対処出来る。これが私の武器
「……どこまでもめんどくせぇ奴」
「悔しそうだね」
「るせぇ、すぐ取り返す」
残り20秒。流石にそろそろ奪われたらヤバいな
そういえば、他の人達は……。と糸師くんを警戒しながら部屋を見渡せば、糸師くんの後ろの角に固まっている人達と私の背後の角に固まっている人達が。2箇所……。使うなら
「こっち」
「お、おい！？」
「なんで今更ッ」
「おい邪魔だお前ら！！」
ボールを踵でその角に向かって蹴れば、突然向かってきたボールに慌てふためく人達。でも別に、私は彼らに当てたいからそちらへ蹴ったんじゃない。
「クッソ……！」
一気に糸師くんの後ろへ向かう彼らに、糸師くん自身がほんの少し目を取られている間に、糸師くんとの距離をもう少し置くためだ。
角へ向かって蹴ったから、ボールが壁に跳ね返されて糸師くんの元へ向かう事は無い。角へ蹴ったのはそういう事も考えての事だった。もし側面に蹴ってしまったら糸師くんの方に跳ね返るからね
「あと12秒だよ、糸師くん」
「……。ホント、ムカつく。けど気は変わった」
「……え？」
糸師くんの言葉に呆けた一瞬の間に、糸師くんにボールを奪われた。横目に見えたモニターの時間は残り8秒。
やばい、と焦って糸師くんからボールを取り返そうと動くが糸師くんは私には微塵も興味を示さずランキング243位の子にボールを当てた
.
終わり
ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←理解しまして。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
