〜本当の用事〜 ページ8
.
「んーと……何処だっけな」
1週間前に来た時には、変わっていた根城を宝物かのように見せてくれた彼らに会いにやってきたのだけど……。生憎、僕の頭は新しい根城までの道を覚えていないようだった
どんな場所かは覚えてるんだけど……
「…あれ？鬼灯？」
「！よかった。やっぱここら辺だったんだね」
「うん。今日だったんだね、来るの」
「そう。明日は入学初日だから」
「そっか…。鬼灯も高校生か」
「まぁね。だからと言って此処に来て差し入れを持ってくる回数は減らないけど」
「鬼灯のそういうトコ、オレは好き」と言って笑う硯くんを見て最初の頃より大分自然な笑顔になったな、と思う
3年前、たまたまこの砂把地区に足を踏み入れてしまった時に助けてくれた彼に恩返しする為、僕は週に1度此処へ通っている。此処は幼い子供達の喧嘩もあれば、盗みも日常茶飯事だけど僕が来た日から3日程は目を見張るほどに少なくなるらしかった
「チームの子、また増えた？」
「1人だけ。最近はそこまで集めようとは思わないんだ」
「へぇ」
「……みんな、鬼灯には感謝してるよ。勿論オレも」
「それはこっちのセリフだけどね」
僕が此処への差し入れとして持ってくるのは街の人達から貰ったパンとか惣菜とかだ。あの街に来て最初の頃は全て断っていたんだけど、此処へ通うようになってから貰うようになったんだっけ
「貧しい子達に回すことになるんですけど、大丈夫ですか？」と街の人に聞けば揃って笑顔が返ってくる。寧ろ、貧しい子達の食料になれるのは嬉しい事だとさらに渡される量が増えた事だってあった。
本当に温かい街だよ、あそこは
「ねぇ、鬼灯」
「ん？」
「……ううん、なんでも無い」
「なんでも無い様には見えないけどな。……敢えて聞かないけど、危険な事には手を出さないでよね。硯くん達が酷く傷付くのは僕は悲しい」
「……オレ達が主の喧嘩とか？」
「以ての外だね」
だから、僕はできる事をしている。ただそれだけなんだけど……いつからか、彼らに情が生まれてしまった様で。彼らが傷付いているのを見るとどうも悲しい。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらくも(プロフ) - すごく好きです…。 (4月24日 3時) (
レス) @page21 id: 44a03850b3 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - 星林檎さん» コメント有難うございます😊拙い文章なりに読みやすくなる様に頑張ってるのでそう言って頂けて嬉しいです！！鬼灯くんとすおちゃんの関係をこれからどうしていこうか考えてます😆😆 (7月26日 8時) (レス) @page19 id: b54df6e94e (このIDを非表示/違反報告)
星林檎 - わああああ！！ウィンブレの男主だぁーーーー！！！文章が上手くて読みやすいです！鬼灯くん、すおーくんとは相性悪そうですね…。これからどうなるのか、続きを楽しみに待ってます！！ (7月26日 0時) (レス) @page19 id: f74057ae4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
