ダサいってこと。 ページ3
花垣side
「助けを求めるってさ、諦めたって事じゃん」
「うーん、そう？まぁいーや。続けてよ」
「？……いや、だから助けを求めるっていうのは引けるっていうか…」
山岸が紡いだ言葉に俺はどこか納得してしまった。だって強い相手にぶち当たった時、誰かに助けを求めるなんてダセーと思う。それならボコられて良いって。
傷は男の勲章だって言うだろ。
「じゃあ君……えっと？」
「あ、山岸っス」
「ん、山岸ね。山岸はこの世の全ての人間が1人で生きて来たと思ってんの？」
「……え？」
「生まれてから、今日まで。山岸自身は1人で生きて来た？誰にも助けを求めず、1人で」
今日まで……。帰って、飯を食う。その飯は母親が作ってくれたモンだ。そして風呂に入る。水道代、電気代は父親が働いて稼いだ金で払ってる。そして寝る。寝具を買ってくれたのは父親で、俺の体に合う寝具を選んだのは母親。
……そう考えてみると、すげー世話になってんだよな。今までも。俺は大人になっても世話をする奴なんか居なかったけど
「いや、流石に無理っしょ。子供の時に出来なかった事は親にやってもらってたし」
「だろ？それと同じだよ」
「同じ？」
手を銃の形にして山岸に向けると、楽しそうにしながら近くのベンチに座る。
「そ。誰にでも出来ねぇ事ってあるだろ？それを出来る奴に頼って何が悪い？それがダサいか？」
「因みに俺は裁縫が出来ねぇ。やった暁には布に自分の指縫い付ける」とトンデモ発言をする帝にタクヤは少し青ざめた。いや、多分俺も同じくらい青ざめている。
布が目の前のコイツの血で染まりきっている光景と、それを見て「やっちまったー」なんて言って苦笑いする帝。……ダメだ想像が出来すぎる。痛いどころの話じゃねぇのに笑ってそうだもんコイツ！！
「出来ないまま、最悪の状態を放ったらかしにしておく方がもっとダサくね？俺は最近、さっき言った東卍のダチに裁縫習ってるよ。結構楽しいし」
「オマエらの喧嘩も同じ」と続けた。それってよーするに帝に弱いって思われてるって事？いや事実……というか、確かにそう思われても仕方ないけどさ。帝もなんか弱そうだし……
「……舐めんなー？俺、けっこー強いよ？」
「口だけじゃないと良いけどね」
「言ったなオマエ！名前なんだ！！」
「タクヤ」
「タクヤムカつく！！」
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