弱いくせに。 ページ2
花垣side
「でも、実際に俺らをボコった奴らは東京卍會って……」
「それ、多分単独だ。東卍は確かに族。だけど総長や副総長の目の届かない所で悪さをするなんて暴走族じゃ珍しい事じゃない」
「……」
俺の手当が終わったのか、マコトの手当に移る男。さっきの発言でマコトが妙にビビってるけど男の緩い雰囲気にちょっと絆されてた。チョロすぎる、コイツ
タクヤに山岸、アッくんも横目にマコトを見て呆れた顔をしている。けどやっぱり、意識は男に向いている事が分かった。敵なのか味方なのかは知らないけどあんな事があった後だ。警戒するのも仕方ない
「およ？俺警戒されてんの？」
「あ、いや…そういう訳じゃ、」
「ハハッ、しゃーなししゃーなし！ボコられた後だもんなー！存分に警戒しとけー？？」
警戒している事がバレたタクヤは焦って弁明しようとしたが、する前に男が笑い飛ばした。その勢いにタクヤは勿論、俺でさえ驚く
いや普通助けようとしてる奴らに警戒されたら怒るだろ？俺だったら少しくらいはイラつくかもしれねぇ。なのになんでコイツはそんな笑って……
「うし！全員分おわりー！痛いとこ無い？」
「全身くまなく痛いけど」
「オメーら弱い癖に口だけは回るんだなー。嫌いじゃないけどー！！」
タクヤのジト目顔から放たれた言葉に豪快に笑う男が最早異常者に見えてきた。タクヤが全身くまなく痛い、と言ったにも関わらず背中をバシバシ叩いてる。
え？コイツ善人に見せかけた悪魔？トドメ刺そうとしてる？
「……んー、そうだな。オマエらケータイ出せ！」
「……は？」
「え、なんで…」
「いーから！俺もこの後約束あるし！」
俺らがポケットからそれぞれ携帯を出すとほぼ奪うようにして自分の手の中に収めた。そして凄い速さで何かを操作したと思ったらそれぞれに丁寧に返される
開かれたガラケーの画面を見ると、連絡先が1つ追加されていた
「俺、
「え？いや、流石に…」
「なんか、それダサいっつーか…」
「？ダサい？どこが？」
至極分からない、という風に首を傾げたこの男。帝A。俺がこれから変えていく未来の鍵は、どの時代、いつでもこの男が握っていた。
それが分かるのはもう少し先の話。
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