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『ん…』

2時間くらいすると目が覚めたのか目を擦りながら唸っていた
どうやら寝起きは機嫌が悪いらしい

『ぐぅぅぅぅ…)』

静かな部屋なのでその音はとてもよく響いた

降谷「クスクス)お腹すいたね、ご飯持ってきてもらおっか」

『ごはん…』

まだ眠いのか舌っ足らずな言い方でつい可愛いなと思ってしまう

風見に電話をして数分、ご飯を持ってきてくれた風見が驚いた様子で突っ立っていた

風見「降谷さん何したんですか…」

大方風見のときには一言も発せず無表情で近かずこうものなら逃げようとしてたのに今は僕に抱っこされてる彼女が物珍しいのだろう

降谷「きっとオークションのときに少し話したからかな…」

風見「ああ…」

納得したのかご飯をテーブルに置き、部屋から出ていった

『ごはん?』

降谷「今日のご飯はカレーだね」

『かれー?』

どうやらカレーを知らないらしい

降谷「セイラちゃんの好きな食べ物は?」

『んー…ごはんはね、ろっくふーろなの』

ドッグフードのことか?
人間のご飯が?

降谷「…そっか…カレーはねスプーンを使って食べるんだよ」

『すぷー』

降谷「そう、スプーン」

スプーンも使った事がないならきっと箸もフォークもないのだろう

セイラちゃん用に用意してくれた小さなスプーンでカレーを掬い膝の上でじっとそれを見ているセイラちゃんの口へと運んで上げれば
不思議そうに僕の顔を覗き込んできた

降谷「口開けてごらん」

あーっと大き口を開けてカレーを食べた瞬間、ほっぺたを両手で抑えた

『おいしー』

キャッキャとはしゃぐセイラちゃんをみて今までろくなものを食べさせて貰えなかったのだろうとふつふつと怒りが湧いてきた

『??、セイラぜんぶたべたからおこってる?』

小さなスプーンの1口しかまだ食べていないのにそんなことを言い出すセイラちゃん

降谷「怒ってないよ、このカレーはセイラちゃんのだからぜんぶ食べてもいいんだよ」

『はんぶこする』

降谷「??美味しくない?」

『おいしーの
からはんぶこ』

降谷「フフッ)ありがとう」

こんなにも優しい子なのに今までどんな扱いされていたのかなんて、この子の発言と態度で少しずつ分かってしまった

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作者名:セイラ | 作成日時:2023年3月21日 19時

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