○３◯翔 ページ4
◇
《20××年 ７月 東京》
翔「お前さ、
あの頃なりたかったもんとか有る？」
ぶはっ、
快「何だよ唐突に…」
高校の同窓会の二次会後、
回りすぎた酒の勢いを借りて、コンビニで花火を調達して
大通りに位置する公園まで歩いて来た俺らの頭上を風に靡く葉が涼しい音を立ててざわめいた。
煙草の煙が花火の匂いの間をくぐりぬける…
翔「俺らがあの頃想い描いてた景色って、
どんなだったかなってさ、」
携帯灰皿に押し付けた煙草が微かな音を立ててまるで夢の終わりのように静かに消えた。
快「そんなの、
何だったかなんて覚えてないけど、
景色はそんなに変わっちゃいねぇよ、
つかめない何かを追いかけてばっかでさ、」
翔「ふっ、」
快の視線の先のコウの真剣な表情が
線香花火のささやかな光に照らされてオレンジに色づいた。
快「俺ら３人でいつもつるんでたけど、
同級生がそれぞれ何かを形にしててさ、
何だか置いてかれそうで焦るよ」
翔「何言ってんだよ。『倉本酒店』の若社長が…」
快「やめろよその呼び方、」
翔「しかも…結婚するんだろ？お前ら…」
快「コウにはまだ返事もらってないよ」
翔「再会後…付き合って２年だもんな。
答えなんか出てるようなもんなんじゃねぇの？」
快「……、でもねぇよ。
色々有んだよ。俺らにもさ…、」
公園のひんやり冷たいベンチが酒に酔った体を静かに冷やした。
向こうに見える赤いタワーの丁度天辺に
月が明るく浮かんで
通りの向こうを走る車の音が祭りの後のようにビュッと音を立てて名残惜しく通り過ぎる。
快「お前は？、近況とか無いのかよ。
さっきも居酒屋で他の奴の話聞いてばっかりでさ、
つうかさ、
いい加減身を固めろよ。
もうさ、
俺、お前の連絡先教えろって何人の女子に聞かれた事か(笑)
もう面倒くさいからさー、早く結婚とかしちまえよ」
はははは
翔「大袈裟なんだよ(笑)お前はいつも……」
遠くに見えるしゃがんだコウの小さな背中が白く浮かび上がる。
冷たい風に火薬の臭いが混じって夏の空みたいに心を染めた。
。
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ラミア - 新月さん» もう感激ですよ！ 更新が待ち遠しい！！ 私が求めていたのはこれです！ (2014年9月3日 15時) (
レス) id: 8cf028f9b6 (このIDを非表示/違反報告)
新月(プロフ) - ラミアさん» ラミアさんこんばんは*^^*ものすごく面白いだなんて///ものすごく嬉しいです♪そう言って頂けると更新が進みそう(>_<)パー３まで更新していますので、またお話しましょう･.*｡ﾟお読み頂きありがとうございます♪ (2014年9月2日 21時) (レス) id: 5fae936ad0 (このIDを非表示/違反報告)
ラミア - 新月さん» ものすごく面白いです！ コメ友達お願いします！ (2014年9月2日 20時) (レス) id: 8cf028f9b6 (このIDを非表示/違反報告)
*。櫻宮ハル。*(プロフ) - 新月さん» 新月さん*+. つい何日か前にやっと更新出来た小説…hit数がぐんと増えて、読者さんがこんなにも居るのか、と驚かせられました.笑 もういっその事…問題集の問題が小説作り、ならいいのに…* なんて思ってしまいました.笑 (2014年8月9日 17時) (レス) id: 61ed3b0451 (このIDを非表示/違反報告)
新月(プロフ) - *。櫻宮ハル。*さん» *｡櫻宮ハル｡*ちゃーん(*ノ▽ノ)塾やお勉強に忙しい中、小説まで書いているなんてスゴいなぁ･･･書く事はどんな問題集よりハルちゃんを形作ってくれる物だと私は思っているよ。沢山の素敵な小説に出会ってハルちゃんの世界が広がりますように･･･ (2014年8月9日 13時) (レス) id: 5fae936ad0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：新月
| 作者ホームページ：ttp://http://uranai.nosv.org/u.php/novel/0527001/
作成日時：2014年7月8日 21時
