音駒高校の歌い手は今日も心に歌う☆*。part3☆*。

病室にて ページ44

_そらるside_


｢96、調子は？｣


｢もう退院できると思うぐらいにはいいよ〜｣


昨日刺されたとは思えない回復力だ。
もうけろっとしているし動き回っている。動き自体は大分制限されているが。


｢一応明姫には連絡しておくよ。……早く回復してくれないとお前ライブあるの忘れてるだろ｣


｢あﾞぁぁぁ！？ After the Rainの！ あ、まって、Aにもそれ言って！｣


なかなかの剣幕にすぐさま電話をかける。
３コール目で『もしもし』と明姫の声が耳元で響いた。


｢あ、明姫。96の容体はだいぶ安定してきてるよ。で、今96が物凄い剣幕で【After the Rainのライブにゲストで出る】事伝えてって……｣


途中まではうん、うん、といつも通りに返答していた明姫が急にそこで『あぁぁぁぁぁ！』と叫んだ。
次いで『忘れてたぁぁぁ！』という嘆き。


……二人して忘れっぽ過ぎだろう。


｢ライブまではあと一ヶ月もないわけなのでそろそろリハとかも始まるからね、ってまふにもついでに言っておいてくれると助かる。……因みに1週間後は早速リハだから｣


そう言うと向こう側から明姫のみならずまふの叫びも響いた。
……まふまで忘れるってなんだ。


電話を切ると、96がぷるぷる震えていた。
何事かと声をかけると彼女もまた叫ぶ。


｢……はよ治さなあかぁぁん！！｣


……ライブ大丈夫かよ。

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