心配して損した ページ32
『失礼しまーす……』
そろそろと扉を開けると、窓を開けて外を眺めるクロが視界に入った。
何を言うでもなく外を眺め続けるクロ。
短めな金髪ショートヘアが風に揺れる。カーテンがふわふわと揺れ、一層の儚さを醸し出す。
今にも消えてなくなってしまうのではないか、と心臓が収縮する。
クロの方へと手を伸ばし、部屋を突っ切ろうと脚を出した。
その時。
「あーお腹痛い! めっちゃ痛い!」
ボフンッ、と後ろのベッドに倒れ込んだクロがこちらを見上げて笑った。
手術は完全に成功、とのことで痛みも最大限無くす事に成功したという事らしい。
『……っはあぁ……』
詰めた息を吐き出し、床にへなへなと座り込む私。
まふくんに手を貸され、どうにか立ち上がる。
「心配したんだからな、96? ほれ、タピオカ」
そういって、ポケットからタピオカを差し出すそらる。
目を輝かせてタピオカに手を伸ばすクロ。
この後の展開を読めた私とまふくんは苦笑いを堪えられずに零す。
そらるの手に握られたタピオカはクロの手に渡ることなく空を切り、そらるの口へと運ばれていった。
固まったクロと美味そうにタピオカを飲むそらる。
「……ひどい、ひどすぎるよそらるん……」
ぐす、ずび、と鼻をすすったクロの目の前に、タピオカ(空)が差し出される。
「いらないってばそんな空っぽのタピオカ……」
「あれ、持ってみなきゃ分からないだろ?」
渋々といった感じでタピオカを持ったクロの手に、それなりの重みが乗った。
「たっ、……タピオカ〜〜!!!」
素直じゃないそらるくんは、どうやらもう一つタピオカを買ってたらしい。
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綾 - きゃあああああああもう大好きいいいい← (2017年1月8日 17時) (レス) id: e38bcaf7ca (このIDを非表示/違反報告)
冴那(プロフ) - 綾さん» きゃあああああ好き(つ´・ω・)っ (2017年1月8日 17時) (レス) id: adef9b358e (このIDを非表示/違反報告)
綾 - もう何可愛すぎか((ぎゅうっ← (2017年1月8日 16時) (レス) id: e38bcaf7ca (このIDを非表示/違反報告)
冴那(プロフ) - 綾さん» もっと照れていいんですよ乁( ˙ ω˙乁) (2017年1月8日 13時) (レス) id: adef9b358e (このIDを非表示/違反報告)
綾 - やめなさい照れる(〃▽〃) (2017年1月8日 13時) (レス) id: e38bcaf7ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冴那 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年9月24日 19時