奇襲 ページ29
和やかな雰囲気が辺りを包む。
はずだった。
「……るさ……な……」
今にも消え入りそうな声が私の耳に届いた。
それは次第に近づいてきている。……恨みを含ませた呪詛のような声色。
ぞっとして反射的にまふくんの後ろに隠れると。
「……っああぁぁぁあっ!」
正気を失っているのであろう、髪を振り乱しながらナイフを振り上げていた。
その場の全員が凍りつく中、彼女は私目掛けて……正確には私が隠れる事で標的へと化すまふくんに向かって走る。
『いや……嫌、まふくんは傷つけないでっ……!』
ナイフなんて怖いもんの目の前に飛び出す趣味も嗜好もあるわけない。
むしろ切っ先が私に向かって一直線に突き出されるのだから逃げたい気持ちでいっぱいだ。
でも不幸なことにここは玄関である。
こんな場所で走り回るわけにも行かない。
急所は外すように動く。でも刺されるしかない。
『……う、あっ』
あと一秒も無いうちに刺される。
痛みに耐えれるかどうかは分からないが、やるしかないと覚悟を決めて、立ち尽くす。
でも。
薄く目を開くが、未来は私の前で止まっている。
訂正しよう。
私を庇うように立ったクロの腹に、深々とナイフが刺さったせいで、未来は止まったのだ。
咄嗟にクロを支えると、ずるりと生暖かく、流れる血が私の手に付いた。
目を閉じ、辛そうに呼吸をするクロ。
『……救急車!! 早く!!!!』
「もう菅原さんがしてる! すぐ来るから!」
未来のナイフを取り上げて彼女の体を拘束するまふくん。
そらるがそっとクロを抱き上げて立った。
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綾 - きゃあああああああもう大好きいいいい← (2017年1月8日 17時) (レス) id: e38bcaf7ca (このIDを非表示/違反報告)
冴那(プロフ) - 綾さん» きゃあああああ好き(つ´・ω・)っ (2017年1月8日 17時) (レス) id: adef9b358e (このIDを非表示/違反報告)
綾 - もう何可愛すぎか((ぎゅうっ← (2017年1月8日 16時) (レス) id: e38bcaf7ca (このIDを非表示/違反報告)
冴那(プロフ) - 綾さん» もっと照れていいんですよ乁( ˙ ω˙乁) (2017年1月8日 13時) (レス) id: adef9b358e (このIDを非表示/違反報告)
綾 - やめなさい照れる(〃▽〃) (2017年1月8日 13時) (レス) id: e38bcaf7ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冴那 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年9月24日 19時