37話 罪人 ページ39
嗚呼、お母さん、お母さんお母さんお母さんお母さん。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
殺しちゃってごめんなさい。
目の前に母が現れる。血の涙が溢れていて、首が切れかけていた。
血肉が露わに為って居る。大量の血が噴き出している。
私は目を背けた。
『駄目、ちゃんと見て』
母はそういうと、血に塗れた両手で私の顔を掴んで前を向かせた。
母の瞳と目が合う。見開かれた目。充血した白目。
腐った臭いがした。死んだ人の臭い。
腐敗臭と鉄の臭いが鼻孔を突く。吐き気が込み上げて来た。
『真逆、実の子供に殺されるなんて思わなかった』
母は血塗れの顔で私にいう。
私は思わず涙が溢れて仕舞った。
ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい。
口は、パクパクと動くだけで声は何も出なかった。
親を殺すような子供でごめんなさい。
首から噴き出た血が私の顔に掛かる。
『貴女は人殺し。人殺し、人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し人殺し！！！！』
母の声だった筈が、どんどん低くなって行く。地を揺らす様な低音が響いた。
私は、人殺し。
沢山の人をこの目で殺した。
私は罪人。罪を犯 した犯罪者。
私だけが生きて居ちゃいけない。
地面だった筈の物が赤い沼の様に為っていく。私の身体は飲み込まれる。
その沼から沢山の手が伸びて来て、私の頭を掴む。
沼に押し込まれる。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿Aちゃん！！！！
青白い光が沼に差し込んだ。
ブラックホールの様な物に全てが吸い込まれていく。
そして、気が付けば私は太宰さんに抱きしめられていた。
｢ッ………嫌、嫌、嫌、嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌！｣
私は叫ぶ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁ！
｢私なんて生きててはいけないんだ！！沢山の人を殺した私に生きる意味なんて無い！！逸その事殺して呉れ！！私を殺して呉れよ！！此世界に私は生まれてはいけなかったんだ！！｣
喉が痛くなる迄叫んだ。何度も何度も太宰さんの背中を叩く。
だが、太宰さんは私を強く抱きしめるばかりで何もいわない。
すると視界に血溜まりが入った。肉片が飛び散っている。
是、私が……！？
嘘。
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作者名：さくら志摩 | 作成日時：2018年8月9日 18時
