25話 記憶改竄 ページ26
私の心拍数が一気に上がる。私の記憶を改竄した理由とは。
萩原の顔を睨みつける。
「理由は簡単だ。記憶が残って居るとこちらにとって、都合が悪いからだ」
萩原はいう。
「俺の異能力『青猫』は、相手の記憶を操作する異能力。然し、異能力が持つのは精々三ヶ月程度。だから俺は、効果が切れる前に改めて記憶を操作していた」
萩原社長の異能力……。『青猫』と云うのか。
「だが、Aは太宰君と接触して仕舞った。記憶が戻ったのは、そのせいだ」
太宰さんの『人間失格』。
あの日、雨が降って居たあの日に異能力は無効に為ったという事か。
私は萩原を睨む。
「じゃあ、私は誰なんだ?」
「何を云う、もう記憶は戻った。解っているだろう?」
「解らない、早く言え」
私は短刀の位置を変えて、喰い込ませた。
萩原は眉間にシワを寄せて苦痛を我慢して居る。
「ッ………!Aは、ポートマフィアだ……っ」
萩原はいった。
その場の空気が凍り付く。だが、太宰さんの反応だけは違った。
若しかして、太宰さんは。
「ポートマフィアの歴代最年少の幹部補佐だ……そして、特一級危険異能者だ……!」
私が、特一級危険異能者……!?それには驚いた。
私はそんなに強力な異能力を持っていたのか。後遺症だろうか、思い出せ無い。
「Aは、異能特務課の危険人物リストに載っていて、立派な監視対象者だ……」
萩原はいう。
「四年前のポートマフィアへの奇襲攻撃の際に、Aは何らかの理由で異能力が制御出来なく為り、ポートマフィアから逃げ出した。そして道端の人間を何人か殺したのだ。
監視対象者が行った悪事なので異能特務課が動いた。まだ十二だったAを刑務所へは送らず、異能特務課で預かる事にした」
あの時の視線の意味が判った気がした。
“なんと恐ろしい事でしょう”脅えの目。
“此の少女が、あんな事件を”驚愕の目。
“可哀相に”哀れみの目。
私の異能力は、特一級危険異能力。
「そして、俺が引き取った。監視対象で有るAを」
萩原がいった。
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作者名:さくら志摩 | 作成日時:2018年8月9日 18時