16話 私への、依頼 ページ17
その日は雨だった。
いつも通り、雑務をこなして居ると私の電算筐体に書面が届いた。
また、鉄仮面の予告状……!?
心臓が速く鼓動を刻み始めるのを感じ乍ら、書面を開く。
『沙都河A様
益々のご健勝、お慶び申し上げます。先日の爆弾処理、実に鮮やかでした。
今回、武装探偵社様宛では無く、貴殿直々に文を認めさせて頂いたのには訳が有ります。何を隠そう、貴殿に御依頼をさせて頂きたく思うからにございます。
依頼内容は、“日本列島爆破”の阻止。
期限は、十日後とさせて頂きます。
中々刺激の強い依頼かと思うかもしれませんが、解決方法は実に簡単でございます。貴殿、沙都河A様が、我々鉄仮面の仲間に成れば善いのです。
貴殿の異能力は我々に必要不可欠なのです。貴殿のその『紅染』と云う異能力が。
稀に見る、攻撃にも防御にも特化した異能力。相手の命を瞬時に奪う異能力。
その異能、武装探偵社には手に負えません。是非、我々鉄仮面の元へ。
日本を救いたいのならば、我々の仲間に成るのです。
猶、この事は口外禁止とさせて頂きます。
口外して仕舞った場合、日本列島を爆破し、消し去られると云う事を忘れずに。
《鉄仮面》』
日本、列島、爆破…………。
ぞわぁっと全身に鳥肌が立つ感覚がした。身の毛もよだつとは、正にこの事だ。
私は思わず電算筐体を閉じて終う。
ドクドクと物凄い速度で心臓は鼓動を刻んで行く。
待て待て待て待て、落ち着け。落ち着け。
是は、口外禁止……。口外した場合は、直ぐに爆破される…。
私の行動を監視して居ると云う事か。
だとしても、誰が?私を、監視しているのか。
太宰さん?国木田さん?敦さん?いや、升君…!?
ふと、芙美子の言葉が蘇った。
“処で……子規は何処に?” “そう……なら良いのよ”
芙美子さんの升君に対する態度は、他の特広の皆と何処か違った。
この言葉もそうだ。わざわざ、居場所を確認するか?
すると、誰かが私の手を掴んだ。はっとして、誰なのかを確認する。
「鏡花ちゃん……」
「……大丈夫、ですか。具合でも……悪いのですか」
鏡花ちゃんは控え目にいった。
確かに、今の私は額に冷汗が滲んでいて、心なしか肌寒い。
私は無理矢理笑顔を作って微笑む。
「有難う、鏡花ちゃん。でも、大丈夫だよ」
日本の未来が、人々の未来が、私に。
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作者名:さくら志摩 | 作成日時:2018年8月9日 18時