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ご飯を食べ終わったあと 、ご主人様は上着のポケットから茶色い小さな小瓶のようなものを取り出した 。
ずっとご主人様の手元を見つめていたのがご主人様に気づかれてしまい 、不意に顔を上げたご主人様に
『 … 気になるか ? 』
と言われてしまった 。
恥ずかしくて すみません 、とすぐに謝ると
『 これは鉄剤だよ 。 人の血を吸わない代わりに こうして薬でコントロールしているんだ 』
「 そうなんですか … ? 」
『 約束だから勿論守るべきだろう 、… それでも時々抑えきれないときには 頓服のような注射をしてどうにか堪えているんだよ 』
そう言ってその鉄剤を口の中に放り込んで 、グラスの水をぐいっと飲み干した 。
『 少し待っていてくれ 、見せたいものがある 』
そう言うとご主人様は部屋から一度出て 、少ししてからまた戻られたが 、その手にはアコースティックギターが握られていた 。
『 よければ君のためにこれを弾いてみせよう 』
部屋の大きなソファーに腰掛けてギターを弾く準備をしているご主人様 。
かなり慣れた手つきで 本当によくこうしているのだろうか 、と思いを馳せていると
『 … 君もこっちに来るといい 』
と ご主人様はそういいながらわたしに手招きをして 、ソファーの隣のスペースをとんとんと叩いている 。
「 っえ 、いいんですか ? 」
『 いいから 、はやくここに座って 』
ご主人様に催促されるまま隣に腰かけると 、ふかふかのソファーに体が沈んだ 。
ご主人様の手が弦を弾くようにして ゆっくりとはじまった曲 。
大きな手がギターの上を滑る度に 心地いい音が鳴って 、ご主人様の隣ではじめは緊張していたものの 自然と力が抜けていく感覚 。
「 … すごいです 、こうやって楽器ができるのが意外でした 」
『 ギターやピアノも 、昔からよく触っていたんだ 。父が音楽が好きで 、母もピアノが引けたから 』
ご主人様が手を止めて こちらに顔を向ける 。
『 君は そういうふうになにかしてもらったことはあるか ? 』
「 あ 、… わたしはおばあちゃんに料理を 。両親も兄弟も何処にいるか全然知らなくて 」
そう言うとご主人様は少し俯いて “ すまない “ と謝った 。
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べる子ちゃんさん(プロフ) - momoさん» いつもありがとうございます ㅠㅠ しばらく毎日載せることはないですが たくさん読み返していただけると嬉しいです ! (2022年10月11日 7時) (レス) id: f6abf99b84 (このIDを非表示/違反報告)
べる子ちゃんさん(プロフ) - elmoさん» いつもコメントしていただいてありがとうございます ! 読んでいただけて嬉しかったです ㅠㅠ (2022年10月11日 7時) (レス) id: f6abf99b84 (このIDを非表示/違反報告)
べる子ちゃんさん(プロフ) - アルムさん» 初めまして ! 拙いお話ばかりですが 読んでいただいて 、感想もいただけて嬉しいです ㅠㅠ (2022年10月11日 7時) (レス) id: f6abf99b84 (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 本当にこのお話大好きです💗💗べる子ニムのお話どれも素敵です!!!毎日占ツク開いてべる子さんの通知が来てたら幸せです!! (2022年10月10日 22時) (レス) @page34 id: 6f106146ee (このIDを非表示/違反報告)
elmo(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました😍 (2022年10月10日 21時) (レス) id: 37bbaba9df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:べる子ちゃんさん | 作成日時:2022年9月16日 17時