８９話 ページ41
「監督の指示よ。スピードアップのため、筋力強化を意識した食事を用意したわ」
「カロリー計算も完璧です！」
「それから、一度口に入れたら三十回噛むようにって」
『消化吸収率がよくなるんだって』
不満そうなみんな…特に壁山だが、勝つためだ！三十回噛むぞ！という円堂の言葉により渋々食べ始めた。
夕食後、みんな自由に過ごす中Aは外で夜風に当たっていた。
頭の中は入院してるみんなが元気にやっているか、怪我は悪化していないか____影山はどうしているのか。
考えてもしょうがないことだが、頭に浮かぶのはそのことばかりである。
「隣いいかな？」
『吹雪くん』
どうぞ、と返事をすると彼は微笑んで隣に腰を下ろした。
『吹雪くんは会いたい人、いる？』
「会いたい人？」
彼は少し考えたあと、いるよ、と答えた。
「でももう会えない。死んじゃったからね」
悲しそうにいう吹雪を見て、慌ててごめんと謝るA。
大丈夫と答えてから、Aちゃんはいるの？と聞いてきた。
『いるけど、私も会えない。というか、会わない方がいいのかも』
影山と会ってどうする？彼への気持ちをどうする？
そうして自分が壊れるなら会わない方がいいのではと思い始めてしまう。
変なこと聞いてごめんね、と何度目かの謝罪をするといいんだよ、と彼からも何度目かの赦しの言葉が聞こえてきた。
事情は違えど同じ悲しみを持つ者同士、どちらからともなく寄り添いあった。
『まったく、染岡は素直じゃないなぁ』
次の日の朝。
朝食は一度だけおかわりOKと聞いたみんなが元気よく食べる中、風丸から染岡が一人で練習していたと聞いたA。
『心配させやがって、このツンデレめ！』
「痛ぇ！なにしやがる！」
白米をかきこんでいる染岡の頭を叩くとキレられたが、その顔は最近の不機嫌な顔ではなかった。
そしてまた始まる特訓。
みんな初日よりも動きが良く、雪玉も避けられるようになってきている。
「スゴーい！」
「みんな、よけるのがうまくなってきましたね！」
「それだけスピードに慣れてきた。速い動きの中で、周りが見えてきたということなんだわ」
『動体視力が上がってるんだね！』
「スゴいスゴい！みんな速くなってきた！もっともっと速くなれるよ！」
マネージャーや吹雪も、彼らに感嘆の声を上げる。
それから夕食は少なめに、特訓、実戦、朝と昼は量を多目に。その繰り返しの日々が続いていた。
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ゆなん(プロフ) - さくさん» えー！ありがとうございます嬉しいです（ ; ; ）毎日更新できるように頑張りますので、よければお付き合いください〜！ (2020年7月14日 17時) (
レス) id: 23ce9c4a3d (このIDを非表示/違反報告)
さく - めちゃめちゃ好みのお話で一気読みしてしまいました…更新楽しみにしてます頑張ってください、！ (2020年7月14日 17時) (レス) id: 8d7bf43e89 (このIDを非表示/違反報告)
ゆなん(プロフ) - 緑谷出久さん» コメントありがとうございます！源田くんまったく絡ませられてないですね…色んな人とフラグ立つように頑張ります〜！ (2020年7月7日 7時) (レス) id: 23ce9c4a3d (このIDを非表示/違反報告)
緑谷出久 - できればでいいんですけど、落ちは、源田幸次郎君がいいです。 (2020年7月6日 22時) (レス) id: 08b72a76d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆなん | 作成日時：2020年7月1日 19時
