XII ページ13
「ん…んぅ？」
「起きたか」
「おはよにぃに」
「アイのでてたドラマもう終わったぞ」
「……え！？」
見たかった、と話すライトには悪いが見ないほうが良かったかもしれない。期待していたんだから、登場があれだけと知ったら落ち込むのは容易に想像できる
そして、ライトにはもう一つ言わなければならないことがある
「ライト、映画に出る気はないか？監督がお前にもでてほしいって言ってたんだが」
「おまえにもって…もしかしてにぃにもでるの？」
「俺は出るけど、ライトの好きにしていいぞ」
「…ぼくもやる。にぃにがいるならだいじょーぶだから」
「ママぁああママぁあああ！！ママのどごがえりだい！！なんでママいないの！！」
「アイとは撮影日が違うんだよ」
「早く帰ってバブりたい！！ママの胸でオギャりたいよぉーーー！！私をオギャバブランドに返してー！！」
「ね、ねぇねだいじょぶだよ」
いい年して恥ずかしくないのか？中身何歳か知らんけど
バンッ
「ﾋﾞｸｯ」
「ここはプロの現場なんだけど！遊びに来てるんなら帰りなさい！」
「えっと…」
誰だこいつ、と思ってたらライトが後ろに隠れる。
人見知りなのか怒られたと思ったのか…
背中に顔が押し付けるのはいいが、涙はハンカチで拭いてくれ
「私は有馬かな。今日の共演者よ」
「……あ、この子あれじゃない？えっとなんだっけ……重曹を舐める天才子役…？」
「10秒で泣ける天才子役！！ドラマでの泣きっぷりが凄いって皆言ってるの！凄いんだから！！」
「このまえ、おひめさまになってたひとだ！」
そういえばこの前やっていたドラマに登場していたな。有名なのか？
「知ってるわ、あなた達コネの子でしょ！
本読みの段階じゃあなた達もアイドルの子も出番も無かったのに、監督のゴリ押しって言ってた！
そういうのいけない事なんだから！」
「いや、そういうわけじゃ……」
……テレビでみた印象とは似ても似つかないな。
共演者にも周りのスタッフにも大御所気取り。
まあ、ここは大人として軽く受け流してやるか。
「こないだ監督が撮ったドラマ見たけど、あのアイドル全然出番なかったじゃん。
どうせ、カットしなきゃいけないほどへったくそな演技したんでしょ？媚び売るのだけはじょうずみたいだけど！」
前言撤回。こいつには社会の厳しさというものを教えてやらなければ。
「お兄ちゃん……」
「分かってる、相手はガキだ……殺しはしない……」
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作者名：暁 | 作成日時：2023年7月9日 16時
