見向きもしない 2

目 ページ29

バタン







ドアが開いて思わず肩をすくめる


手に持ってたノートを落としそうになる








振り返って、そこにいたのは 顔を歪めている
_____好きな人









そこにいるのが平野だってことが
未だに理解できなくて呆然とする









「 …… なんで泣いてるん？ 」









『 えっ！？ あ、これは…その 』









泣いてたことに今更気づき
必死で赤くなった目を擦って
何もなかったように笑顔をつくる









平野の息が整い
ゆっくり歩み寄って来る









そこにいるのが平野だってこと
まだ実感しない









自分の気持ちに気付いたのが
ほんの少し前で、よくわからない感情の正体が分かった直前に現れるんだから





会いたいって思った時に現れるんだから





平野はずるい









さらさらな髪、大きな目、曲がったネクタイ
平野の目に映っているのは
紛れもない私…









平野の顔を正面から見たのは久々で
というか会話をしたのも久々で
何故か胸が満たされる









鼓動が速くなるのを感じ取って
現実だと実感した









「 少し休んだら 」

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