見向きもしない 2

ただいま ページ27

平野side





「 ただいま 」






揺れるスクバを片手に、
二階の自分の部屋へと向かう









「 おかえり！！ 」







いつものように後ろから母親の声が聞こえる
スクバを背負い直してから
また階段を登った









「 もうすぐテストよね！！ Aちゃんどんな感じなの？！ 」









その声が俺を止め 振り返ると
笑顔の母親と目が合った




その瞬間 不安が俺を満たす









……忘れてた
泊りがけの勉強で安心しすぎてて、
これからのことなんも決めてへんかった









「 …今から行くわ 」


「 あら！！紫耀が自分から行くなんて！！よかったわ〜♪ 」









黄色い声をあげてる母親なんて構ってる
暇なんかなくて
足早に玄関へと直行した









Aside









『 ただいま 』









ローファーを脱ぎ捨てリビングにある
ソファーへとダイビング









「 おかえり 勉強の方はどう？ 」









少し休みたいのに
顔を覗き込むようにして
お母さんが歩み寄ってきた









『 まぁ 前よりはマシかな 』

「 それは当たり前！！ 本当に進級もできるか怪しいんだから！ 」









耳を塞ぎたくなるようなことを言われ
とりあえず体を起こす









『 勉強してきます 』









逃げるようにして
二階の自分の部屋へと移動









バタン


ドアを閉めた









なんとなく椅子に座って
なんとなくノートを広げて
なんとなくシャーペンを握る









あー…やる気が出ない






そのまま机に突っ伏したまま目を閉じてみる

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