地下の決戦 1 ページ39
二週間、俺はAに会う機会をずっと探ってた。
セジンヒョンにがんばれって言われたものの、1社員でしかないAを、他のスタッフの手助けなしに捕まえるのは意外と簡単じゃなくて。
とりあえず所属場所を把握して、勤務時間を大体目星つけて、自分の出社時に遭遇できるタイミングとか考えたら。
ほんと笑えるくらい時間がない。
俺に。
しかも、平日昼間のAが1人でいそうなタイミングなんか、遭遇できたら奇跡に近いんじゃないかなってくらい。
まあ、それでも諦めずに、見つけたタイムアタックは、以下の通り。
出社した日は打ち合わせでもなんでも、トイレ休憩とか少し隙間が空いたタイミングを見計らって、
「ちょっと、トイレ行ってきます」
て、部屋を出る。
それからそのまま大道具とかのスタッフがいる階まで、全力で走っていって、廊下にAがいたらラッキーっていう。
すごい地味なやつ。
スタッフルームわかってるなら、個人的に呼び出したら良いのにって？
でも、個人的に呼び出した時に、Aがいたらいいけど、もしいなかったら？
Aが人づてに、俺が探してるってわかったら？
十中八九、彼女は逃げる。
なんなら、会社やめるかも。
思い余って、そんだけのことはしそうな気がする。
だって、最初の電話の時の感じ、思い切りがよすぎて怖いくらいだったし。
そんなわけで、部屋に乗り込むわけにはいかないし、この地味に遭遇作戦を会社にこれたら、毎回どっかのタイミングでしてたわけだけど。
おかげでメンバーには、最近ちょっとトイレが近すぎる俺を心配され始めてたけど。
そんな些細なことはどうでも良くて。
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作者名：フネ55
| 作成日時：2022年12月10日 10時
