ビターチョコレート ページ1
ジリジリと大音量の合唱
「本当に帰ってきたんだなぁ」
十年ぶりの母国は変わっていたけど、蝉の声に入道雲。虫網を持った子供に浴衣を着た女の子。この景色は十年たった今もなにも変わってはいなかった。
「あぢーー」
「限界。コンビニでアイス買おうぜ」
「俺今日金ないんだけど」
「じゃあ半分こできるやつな」
「俺らそればっかだな」
制服姿ではしゃぐ男子学生に十年前の自分の姿が重なる。
『暑くて限界や。コンビニ寄ろ』
『でも俺今日五十円しかないよ』
『俺も小遣い前やから金欠なんやった。じゃあ半分こできるやつ』
『いつものやつね』
『俺らそればっかりやな』
暑い夏
半分こにしたアイス
繋がれた手
幸せだった記憶。
『廉くんと�盒兇�手つないでるとこ見たって子がいるんだけど。もしかして男が好きなの？』
『……俺が？そんなわけないやん。見間違いやろ？俺は女の子が好きやで』
『だよね〜。やっぱ見間違いじゃん。だいたいあんな地味なやつと付き合うわけないよね。でしょ？廉くん』
『…そうやな』
どっかで気づいてた。
きっと人とは違う俺のことを哀れに思ったんだろう。
彼が優しい人だってわかってたはずなのに、こんな嘘をつかせしまった自分がさらに嫌いになった。
甘い記憶も全て苦い思い出に変わった瞬間。
いやそうじゃなくて
初めから苦いチョコだったのに勝手に甘いと錯覚して食べていただけだった。
本当の味に気づいた僕は、いたたまれなくなり逃げ出した。
単身赴任でスウェーデンに行く父親についていきたいと行った時両親は驚いたが、どこか納得したような顔もしていた。
両親は僕のことをわかってくれていたみたいだ
スウェーデンは驚くほど住みやすかった。
ここでは本当の自分を出すことができた。
両親は受け入れてくれた。
心から笑える日々。
自信がついて見た目も変わったと思う。
ただ一つずっと胸につかえてるもの。
『じゃあまた明日な』
『…うん。またあした』
叶うことのない約束をしてしまったこと。
黒歴史だって恨まれてるかもしれないなんて思ったけど、自意識過剰だと思考を飛ばした。
きっと俺のことなんて覚えちゃいないだろう。
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うえ - eyytさん初めまして、とっても素敵なお話しをありがとうございます。何度も読み返しています！過去作も大好きです！こちらのお話しの続きが読める日を楽しみにしています。お元気ならいいのですが… (3月30日 1時) (
レス) @page11 id: 9333317159 (このIDを非表示/違反報告)
eyyt(プロフ) - ことはさん» わー！何回も読み直していただいてるんですね、とても嬉しいです！励みになります。更新頑張ります！ (1月3日 10時) (レス) @page6 id: 3a39857c8f (このIDを非表示/違反報告)
ことは(プロフ) - お話待ってました！ありがとうございます。eyytさんの作品大好きで、何度も読み返しています。 (1月3日 9時) (レス) id: befd367002 (このIDを非表示/違反報告)
eyyt(プロフ) - ひさみんさん» いつもありがとうございます！待っていてくれてた方がいてうれしいです！更新頑張ります (1月3日 3時) (レス) id: 3a39857c8f (このIDを非表示/違反報告)
ひさみん(プロフ) - 新作嬉しいです！続き楽しみにしてます！ (1月3日 0時) (レス) @page3 id: b4b147eea4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：eyyt | 作成日時：2023年12月30日 19時
