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血の匂い ページ3

少し強く吹いた風に乗って、かすかに血の匂いがした


気のせいかとも思ったが、嗅ぎ慣れた鉄のような匂いに間違えようはない

心のどこかで嫌な予感はするが、それに無視を決め込んで呪霊を追い続ける


あと少し、あと少し・・・・


方向転換した呪霊を追うために角を曲がると、目に飛び込んできた


見てしまったのだ


血を流すドラケンと複数の不良たち

それからドラケンを守ろうとしている武道

そしてゆっくりながらもまっすぐドラケンに向かってきている今追っている呪霊とは別の呪霊(・・)









「あ?なんで女がここにいんだよ」









どうやら不良たちは自分に気が付いたらしい


追っている呪霊は知り合いの修羅場の現場に逃げ込んだ

立ち止まっている間にも縮まった距離は離れていってしまっている

さらに別の呪霊が、なぜか死にかけのドラケンに近づいている



とんでもなく最悪な状況がタイミング悪く降りかかってきた


ただでさえ面倒な状況が重なっているのに、一番厄介なことがドラケンに迫りくる呪霊だ。






『あの呪霊は危険』






呪術師としての自分の感覚が言っている


呪力からして一級までとはいかなくとも、準一級には相当するのではないだろうか?

・・・・等級なんて気にしても人様に向かって歩いてる時点で危険度もクソもあったものじゃないか

三級だろうと一級だろうと今の状況は非常にまずい


だが背中を流れる冷や汗に気づかないふりを決め込み、あくまで強気な言葉を選んだ




「ほんとあんたら東卍は面倒事ばっかり抱え込むわね。こうまで厄介極まりないことが重なると逆に冷静になってくる始末だし」


釘崎は選択しなければならない


このまま今にも死にそうな人間とボロボロに傷ついている人間をほっぽって自分の目的を果たしに行くか


死の気配を感じ取った呪霊が狙う知人を助けるか






・・・・・はなから迷う要素はどこにもない







「龍宮寺。一つ大きな貸しだからね」



そう言って静かに呪霊へ金鎚の先を向ける。

するとドラケンは、普通見えないはずの呪霊をまっすぐ見据えてから静かに口を開いた



「・・・その物騒な鉄の塊でどうにかできるやつなのか?」

「あぁ、アンタあれ見えてるの。」



この状況を見捨てるという選択肢はない


人の命とまたいつ現れるかわからないチャンス
失って重いものはどちらかなんてわかりきってる

見えなくなっていく呪霊を見ても、焦りも悔しさも感じない

分からないこと→←最悪



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じゅーす🍹 - うわぁぁぁ!!やばいむっちゃいい話でした!神作品をありがとうございます!!!! (2022年5月19日 21時) (レス) @page32 id: ca15e254da (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最後の方もう涙ドバドバでした(´༎ຶོρ༎ຶོ`)野薔薇ちゃぁぁぁぁあああん!!!!!もうめちゃめちゃ面白かったです!!こんなに素敵な作品を作ってくださりありがとうございます!!! (2022年4月7日 2時) (レス) @page32 id: ef9e4cc349 (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 野薔薇ちゃんがかっこいいんじゃぁ!!クロオバなんで増えないんだろ…?とても面白かったです!!(もっと続いてほしかった…)お疲れ様です!! (2021年11月22日 20時) (レス) id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 本当に面白かったです!!この気持ちを形容する言葉がないことが悔やまれるほどに好きです。野薔薇ちゃんがかっこよすぎて涙腺崩壊してます。ありがとうございました!お疲れ様です! (2021年11月16日 18時) (レス) id: 94f21122e4 (このIDを非表示/違反報告)
セス(プロフ) - 本当にすきです!本音を言ってしまえば、、、もっと続いてほしかった笑でも最後までありがとうございました!お疲れさまです! (2021年11月13日 23時) (レス) @page23 id: 9e3afbb02e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まお | 作成日時:2021年9月25日 13時

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