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剣を持つのは、ここ最近だと二日目。
昔は軽々と持てていた物も持てなくなって、少し薬に頼った。
別に違法なものではない、しんぺい神からもらった栄養剤みたいなもの。
「剣の振り方。覚えてますか」
「うん、こうやんな、」
自分でもわかる。
動きが遅すぎるんだろう。
ちら、と顔をみてみる。
「大丈夫っすよ。まだ始めたばっかじゃないすか」
「うん、ごめん、ごめんね」
また剣を見つめ直し、振り上げる。
「あ」
意識が一瞬、ほんの一瞬飛んだ。
剣は真っ逆さまに落ちていき、床にガラン、と音を立てて転がった。
重いものをずっと持っていたからか、手が赤くなっていた。
「先輩。早いっすけど休憩にしますか。」
自分の無力さに嫌気が差すが、今はお言葉に甘えさせてもらう。
ごめんね、…しょっぴくん
「お疲れ様です。…あの、もしよろしければ昔何があったか聞かせてくれませんか。トントンさんに聞いても、『俺が言うてええんかわからん』って言ってらっしゃったので、先輩から聞きたいな、と。」
椅子に座った私に甘いカフェオレを渡してくれた。
自分の昔話なんて、いいことはないけど。
練習、一緒にしてくれたし、教えよう、うん。
「うん、横、座って？」
「ちっす」
「ゾムみたいやね」
ぽつぽつと、語り始めた。
トントンさんとの会話、コネシマさんの怪我の理由、帰ってきてからの自分。
しょっぴくんは相槌を打ちながら、静かに聞いてくれた。
「おわり。面白い話じゃないでしょ。」
「そうっすね。先輩は、その過去を拭いたくないんすか」
「拭いたいし、許してもらいたいけどそう簡単にいくようなものじゃないんだよ」
「そんなことないっすよ。それは逃げてるだけじゃないんすか。」
カチンときた。
久々に、感情が沸き上がった。
「なんも、なんも知らん癖に言わんでよ…！」
怒りと一緒に溢れたのは涙。
それを見ても、しょっぴくんは下がらなかった。
「だから、逃げてるだけじゃないすか！次の戦争で守りきればいいじゃないですか！！それまでに沢山訓練して、力をつければいいじゃないすか…！！」
しょっぴくんまで立ち上がり、聞いたこともないような怒声を上げる。
大声でもない、ただ、感情が思い切り込められた言葉。
「だって、私、…」
正論。図星。
わかってた、チャンスがあるって。
「十分付き合ったるから練習せえや…。」
ぽつり、私だけに声は届いた。
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作者名：eyescoffee | 作成日時：2019年4月5日 6時
