A_bility*『あほの坂田』

＊Ability5 ページ5

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お昼休憩に入って実習仲間と共にお弁当を開けた

朝、いつもより何倍も早く家を出る私が、時間が無い中頑張って作ったお弁当は走ったせいでおかずはバラバラ。もう明日からはコンビニか何処かで買おうと誓った

そんな時、一緒にお昼休憩に入った友達が何やら嬉しそうに｢ねぇねぇ｣と私の肩を叩く




｢ねぇ、教育係の坂田さん、イケメンじゃない？｣




突然何を言い出すかと思えばそんなこと

｢目元しか見えないじゃん？｣と適当に返せばムッとしたように｢だって｣と声を上げる




｢一緒に援助やったけどさぁ、イケメンなのにちょっと抜けてる所とかもあってね、焦ってるの可愛かった｣




熱く語り出した友達には悪いけれど、私には彼に毛ほどの興味もないし、寧ろあの人何か裏がありそうな顔してない？

まず何歳？顔面的には若そうだったけど実は30手前でしたとかあるかもしれないじゃん

それに、




｢あの人何か、変じゃない？｣

｢変って？｣




友達にそう聞かれて午前中の出来事を思い出せば、彼に対する疑問が増える

手作りのタコさんウインナーの黒胡麻で作った目がお弁当の蓋に張り付いているのを箸で丁寧に取りながら口を開く




｢私さぁー、今日テーブルに手を思いっきりぶつけたの｣

｢で？｣

｢私が痛いのは分かるけど、あの人も痛そうにしてた｣

｢えぇ.....でも良くあるじゃん、テレビで衝撃映像とか見てて｢痛い！｣とか言っちゃうあれ｣




でも、だったら自分の手を見て首傾げたりしないでしょ。って言葉はお茶と一緒に飲み込んだ

あの時、結構大きな音が出てしまったから、自分も驚いてステーションの方を振り向いた

そしたら、大勢の看護師さん達がこっちを見ていて、本当に恥ずかしい思いをしたんだ

その時、その教育係の男の人が自分の手を見て首傾げてさ


不気味じゃない？




｢じゃあ聞いてみたら？｣

｢え？無理無理、聞けないよ｣




変な話をして目をつけられて、明日の教育担当者にチクられても困る

実習で落とされるのだけは本当に勘弁して欲しい。折角、座学を寝ずに頑張っているのだから




｢話すればあの人のイケメンさが分かるかもよ｣

｢あ〜いいや別に｣

｢ホントAって男に興味無いよね、彼氏いんの？｣




変な方向に話が進んだからトイレに席を立てば｢逃げるな〜｣って声が後ろから聞こえた






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