*Ability3 ページ3
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学生さんが受け持つ患者さんの名前のリストには大畑さんの名前も載っていて、当然その下には学生の名前が書いてある
まぁ大畑さんは優しい性格だし、骨折と打撲だけで他には特に何の問題も起きないだろう。本当に面倒なのはこっちの糖尿病患者
「今日は特に援助とかは....?」
「学生には必要だと感じた場合はやるように言っています」
そうなんか、じゃあ援助する学生と一緒にやらなあかんってことよな
その分、俺の今日の仕事は無いらしいけど..援助無かったら暇ってこと!?
良いのか悪いのかよく分からないなぁと考えていた時、「あの....大畑さんって、」と小さな声が申し訳なさそうに先生の名前を呼んだ
見れば俺より頭一つ分小さい、一度も染めたことのなさそうな綺麗な黒髪を丁寧にお団子に纏めた女の子
大畑さんの担当だから、ええと名前は..大川Aさん
「あの、大畑さん、病室にいらっしゃらないんですけど...」
「「え?」」
先生も俺も時間が止まったように動かない。いや、だって今日リハビリは無かったはず..
「車椅子、ベッドの近くにあった?」
「無かったです」
「え、じゃあリハビリかもしれん...先にカルテ見て待っとく?」
「はい」
なんだ、大畑さんリハビリ入ってたんだ。最近連携がちゃんと取れてない気がする。別に理学療法士さんを責めてるのとは違うけど
それにしても学生は素直やなぁ、なんて思いながらカルテのパスワードを貸す
「これ、僕のパスワード。パソコンのカルテ見る時使ってええよ。紙カルテはあっちの棚の下ね」
「はい、お借りします」
「ありがとうございます。一応私も持ってるので学生にはそっち使わせますね」
「あ、ほんまですか。なら、お願いします」
座ってパソコンを触ろうとした彼女が、椅子から手を離して上げた時に、机にガツンと勢いよくぶつけた
「!?」
結構大きな音がして、ステーションにいた看護師達が一斉にこちらを見る。俺も驚いてそっちを見たけど、本当に驚いたのはそこじゃない
そっと視線を落として自分の右手を見る
外観的には何の変化もない俺の右手だけれど、別に自分がぶつけたわけじゃないのに、じんわりとした痛みが痺れをもたらしていた
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ふぁん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!考える力がやばいですね?!←とにかく大好きです!!応援してます!! (2018年7月4日 6時) (レス) id: f99b176aca (このIDを非表示/違反報告)
おもちちゃん?(プロフ) - もくさんの作品って感じですごく好きです!!新作も面白くなる予感しかしません!!これからも頑張ってください!! (2018年5月15日 23時) (レス) id: 3548c41063 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もく。 | 作成日時:2018年5月12日 23時