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眠い目を擦りながらステーションに入れば、そこには既に見慣れぬ5人の白衣達がいた
「おはようございます」とそのうちの1人に声をかけられれば、周りの4人も焦ったように挨拶をする
聞けば今日来るのは1年生らしい。初めての実習で緊張してるんだなと微笑ましくなってこちらも挨拶を返す
「おはようございます」
俺より2年遅く就職してきた女性看護師のその声で朝の申し送りが始まる
実習生5人は引率の先生らしき女性に背中を押されて俺たちが丸くなるテーブルに近付いた
「...?」
その時だった。背中が痛いなぁと感じたのは
別に背中を何処かにぶつけたとか、そんなことは無いし、背中に何か傷があるわけでもない
誰かに一点を集中的に押された後のような、じんわりとした不思議な感覚
「申し送りは以上です、よろしくお願いします」
しまった、全然聞いてへんかった..!!
隣の看護師の手元を見て出来る限りの情報を自分の紙に書いていく。昔から変わらない汚い時が手元の字を黒く汚していくようだった
「教育係の坂田さん」
...は?
耳を疑うような台詞が聞こえて思わず声のした方を見れば、俺を指さしながら5人の実習生と引率の先生に話をしている女性看護師がそこにいた
今年入ったばかりの新人
「って、僕聞いてないんですけど!?」
「今日は坂田さんが1番偉いからって、..中野さんが」
「中野..」
中野さんは俺と同じ年に就職した、所謂同期というやつで。彼女は専門学校を卒業したバリバリの出来るヤツ
ただ看護以外の面倒事は大嫌いらしく、今日の教育係も俺に丸投げしたんだろうと察した
確かに今日はベテランさんいないけども!
「とりあえず、今日1日だけでもよろしくお願いします」
そう言って新人さんは部屋持ちなのか包交車を押して何処かへ行ってしまった
「..改めまして、坂田です。よろしくお願いします」
「お願いします、えっと..今回の実習での担当患者さんをリストの中からそれぞれ学生が選びましたので、まずは挨拶させてきますね、それから..」
えらいしっかりした先生やな
まぁ先生とは言え彼女も看護師だし、きっと俺よりも遥かに先輩なんだろうけど
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ふぁん(プロフ) - めちゃくちゃ好きです!!考える力がやばいですね?!←とにかく大好きです!!応援してます!! (2018年7月4日 6時) (レス) id: f99b176aca (このIDを非表示/違反報告)
おもちちゃん?(プロフ) - もくさんの作品って感じですごく好きです!!新作も面白くなる予感しかしません!!これからも頑張ってください!! (2018年5月15日 23時) (レス) id: 3548c41063 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もく。 | 作成日時:2018年5月12日 23時