CHO-EXTACY

＿*°34 ページ34

モテるのに。
告白もされるのに。
青春、せんかったんはあたしがおったからか。



あたしが大毅の気持ち縛ってた。
もしかしたらあたしを睨む女は神山先輩が好きな人だけじゃなく、密かに大毅を狙う人も含まれてたんかもしれん。



重「…俺やったら」


「うん」


重「もしAが薬中なんて分かったら…何が何でも悪魔取り払う」



少し緩くなった力は、隙を見せてるみたいに窺えた。



重「恋、してるやんか。ちゃんと」



相手が俺ちゃうのが癪やけどって。
はは、って笑うのが無理矢理に出した声やってことくらい分かる。



徐々に力が抜けていくその腕は、終いにはぶらん、と垂れ下がった。



重「俺が泣くん慰められへんねやったらはよ行け。引くほど泣いたるから」



ブレザーはファサッと取られ、持ち主の元へ返る。
まだ笑顔。
けど…これから泣く顔や。



重「ほんまに。ほんまに好きや」



一粒、零れた雫はノーカンにした方がええかな。



「ありがとう…ごめんなさい」



おう、って小さく呟いた言葉が、限界やって叫んでいた。



だからわざと激しく音立ててさ。
どんだけ体重あんねんってぐらい足音大きく走ってさ。



あたしができる、精一杯の気遣いで終わらしたんよ。

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