＿*°28 ページ28
大毅とは口を聞かないままその日一日が過ぎ。
最後の授業は時計と正門前をチラチラと行き来しながら先生の話なんか全く聞いてなかった。
何かもう、答え出てるんやなって思う。
チャイムが鳴る5分前に出てきた神山先輩の姿に自分でも引くほど心臓が踊り出すし。
鞄持って歩いてるだけで絵になるってすごい。
神山先輩を好きと自覚したこの瞬間からあたしはその他大勢の一人になってしまうかもしれん。
近くに居たい。
一緒に笑いたいって思うのは高望みで図々しいかもしれんけど。
彼女になりたいなんて言わんから、一番近い存在で居れたらなって。
チャイムが鳴った。
下駄箱に近い一年は出てくるのも早くてあっという間に正門に群がっていく。
重「A」
何か言いたそうな大毅が机の上の教科書も片付けず視線を寄越す。
「ごめん、約束ある」
どうせまた言うことは同じ。
理由は言わないのにオウムみたいに繰り返す。
やめろって言われようがどうしようもない人だろうが自分で見ん限りは諦められへん。
半端な気持ちじゃないんや。
「ラインででも送って」
それから一目散に下駄箱へ。
帰宅ラッシュの波を抜けて、次は女子の群れも掻き分けやな。
邪魔やねん、って怒鳴りたくなるのを堪えてちょっとずつ前に進む。
終わりがどこか分からん。
「ちょっ、すみません……」
「何！？押さんといてよせっかく前で見れてるのに！」
我が強いタイプの癪に触れたらしい。
思いっきり押されてまた逆戻り。
…何でこんな気持ちにならなあかんの。
下手に出てなるべく気に触らんようにしてるってのに。
『大丈夫？Aちゃん』
人がザッと引く気配がした。
さしのべられる手は、見覚えがあるもの。
「…すみません、遅くなりました」
『んーん、全然』
引っ張られて立たせてくれる。
それまで優しかった目が、あたしを抱き寄せた後狂気に変わった。
『…これ以降。Aちゃん傷つけたら許さんからな』
きっと今ものすごく怖い顔をしてる。
そうでなかったらこんなに一斉に帰ってく足音が聞こえるわけない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1025人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カジャ(プロフ) - 智マロさん» 続編が決定しましても、水面下で動きますので気長に待っていただけると嬉しいです笑 応援の言葉もありがとうございます。 (2019年2月5日 21時) (
レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
智マロ(プロフ) - ありがとうございます！！新作の方も頑張ってください！！ (2019年2月2日 14時) (レス) id: 81e3e0ac1c (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 智マロさん» 今のところは考えてないですが…前向きに検討してみます！ (2019年2月2日 10時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
智マロ(プロフ) - すごく今更なんですが、これの小説の続編書いていただけないでしょうか？？ (2019年1月31日 17時) (レス) id: 81e3e0ac1c (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - 小鞠さん» 恐れ多いです本当に…プレイリスト、ということですが理由をお伺いしてもよろしいですか？作品一覧では見にくいということでしょうか…？ (2019年1月30日 20時) (レス) id: 94c6d0cc26 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カジャ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kajya1734
作成日時：2019年1月2日 12時
