「世界と私、どっちを取る？」 ページ25
「まずはこの間はごめん、心操の優しさにちゃんと向き合うことが出来なかった。」
「俺も、対等な立場なはずなのに、あんな風に言っちゃってごめん。けど」
「そこで聞いて欲しい質問があるんだけど、いい？」
彼の言葉を遮ってまで私は彼にこの質問をするのだ。
「もし、私と世界、どっちかしか救えない時心操ならどっちを取る？」
これで私の答えがあっているか間違っているか。私のヒーローの真髄はこの言葉だけだ。ヒーロー志望の彼ならどっちを選ぶかなんて私には分かりきっていることだ。
「...俺だったらA助けて一緒に世界を救うかな。身近な人を守れずに世界を救えるとは思わないし、それで世界だけ救ってもカッコ悪いだろ。」
私は意外な答えに思わず固まってしまう。なぜ？と純粋な疑問が私の頭を支配する
「それに世界を救ってくれる存在は俺以外にも適任がいる。俺らが出遅れたところで問題ねぇな。」
「ヒーローは遅れて登場ってことになるよそれ」
彼の答えがどこか今までになくて思わず笑ってしまう。そして今まで閉じ込めていた君への想いを打ち明けてしまおう。関係が崩れる？そんな訳ないじゃん。私達はヒーローでありもう大人だ。
「もう薄々気づいてると思うけど、私心操のこと好きだよ。」
「...思い上がりじゃなくて良かったの方が強いな。俺も好きだから」
「さっきの質問の私の答えも聞いてくれる？」
ヒーローの在り方、真髄を問うこの質問に別に深いという程の意味は無いけどこれだけは伝えておきたいと思ったから。
「私は迷わず世界を、自分を犠牲にしてでも心操もだし、私の親愛なる人を助けるよ。ヒーローを守るのもまたヒーローだし」
「Aらしいよ」
さっきまでの気まずい空気はおろか、私たちの雰囲気は柔らかく和んでいた。ふと目が合えばどこか真剣な眼差しに私の青い春が再び舞い降りてきた。
どうやら彼はどっちも救っちゃうみたいだ。
fin
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作者名：爆蜜柑 | 作成日時：2024年2月2日 18時
