「私と世界、どっちを取る？」【心操人使】 (ページ18)

今日:29 hit、昨日:20 hit、合計:3,413 hit

作戦実行の時ページ18

「充分警戒していくぞ。」
「ほかのヒーローたちが先にヴィランと交戦してくれることを祈るばかりだよ。」
「君たち少し静かにしてくれないかな...」

ついに作戦は実行され、私達も動き始める。最優先はヴィラン討伐ではなく人質の救出。唾を飲み込み深呼吸をしながら震える足をパチンと叩き集中する。物間を先頭に真ん中に私、後ろに心操。何かあれば直ぐに個性を使わなければいけない。

歩いていて思うことはひとつ、ギシギシと床が軋んでいて索敵も中々引っかからず、埃っぽい。それに薄暗い廊下の壁には何かの絵画が飾ってある。慣れているがやっぱり怖いものは怖い。そういう点では痛みと同じであろう。

「反応ありみたいだ、待機しているヴィランか中学生達かは分からない。」

彼の言葉に私はもう一度気合いを入れ直すために深呼吸をする。戦闘準備をし、合図を待つ。思わず喉がゴクリとなってしまうがそれは物間の合図で消えていった。

「ひ、ヒーロー...！」

どうやら状況を見るに私達は遅かったようだ。かろうじて息をしている少年と、その少年を看病している少年と少女。もっと早く、助けに来れたら。なんて今ではもう不可能であることを考えてしまう。

「遅くなってごめんね、今助けるから。」
「でも、鍵は...」

物間は索敵の個性を解除し代わりに傀儡の個性を出した。よしこれなら、と私はまずは息が薄い彼を救出する。

「心操、私の身体支えてて」
「こう？」

私は重心を心操の方に傾けて逆転しようと思っていたが、彼の想像とどうやら違ったようだ。彼は私の膝裏と背中を支えて持ち上げる。どうやらお姫様抱っこをされているらしい。物間が「なるほどね」と言ってきて思わず動揺してしまうが、一回深呼吸をして小声で「逆転」と言った。

すると私は鉄格子の中に入る。この調子で繰り返していけば全員救出もできるだろう。

「2人とも、直ぐに助けるからね。」

私は再び外に出るべく、傀儡と逆転をした。