「私と世界、どっちを取る？」【心操人使】 (ページ16)

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隣の芝生は青い？ページ16

「いーなーデクの事務所。」

私はぽつりと呟いた。暇だったので他事務所から盗めるものは無いかとサーフィンしていれば、デクの事務所のHPにたどり着く。見れば社員研修で海外に行き、ヒーロー活動と観光を両立している姿がそこにはある。

もちろん毎日が忙しいけれども充実していない訳では無い。夢にまで見ていたヒーローの現実を高校生の頃から見てきたつもりだが、ここまで忙しいだなんて思っていなかった。

それに彼と会うことだって少なくなってしまった。中学高校と同じだったからか余計にそう感じるだけかもしれないけれど。当時は同じく雄英のヒーロー科を目指すもの同士だと思って勝手にライバル視していた。

けれども個性の相性の問題で彼は普通科に行き私はヒーロー科に受かったと知ってからは、彼と喋ることが出来なかったけれども、一年の体育祭で、彼の活躍を見て、悔しいけどヒーロー科にいる私なんかより、ずっとずっと凄いやつだとも痛感した。B組との対抗戦の時はとくに彼の背中を追う側だったとひしひしと分からされた。

それにきっと、彼は私なんかよりももっと偉大な夢を持っていると。

「おい、手ェ止まってるぞ！！やる気あんのか！」
｢うわびっくりした、爆豪か｣

資料で雑に私は頭をはたかれた。それがそのまま手元に落ちてくる。どうせまた経営に関することだろうと、机の端に置こうとすれば爆豪に怒鳴られた

「それただの資料じゃねぇぞ、目ぐらい通しとけや。」

そう言われて急いで見てみれば重要機密と書かれた資料だった。要約すると、凶悪ヴィラン討伐の為チームアップの要請諸々が書かれていた。

「これ爆豪と切島が担当してた奴じゃん、まだ人足りないの？」
「...イレイザーヘッドがお前を御所望なんだとよ。」
「合理的な先生が言うんだったら間違いないね。引き受けるよ、連絡入れておく。」

私は資料をファイルに入れて、先生にメールを書き始める。あぁ、今日は残業かななんて考えていれば爆豪にいくつかの資料を奪われて「俺がやるからてめぇはさっさと帰って体調でもなんでも整えとけ。」と言われる。やっぱり爆豪って根っこからヒーローなんだな。