「私と世界、どっちを取る？」【心操人使】 (ページ12)

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そういう答え嫌いじゃないよページ12

明日になれば今日が来る、明日なんて存在するのだろうかなんて哲学的なことを考えながら私はダイナマイトの事務所へと足を向ける。彼の事務所に私が引き抜かれた理由は、マーケティングの知識を得たいからだそうだ。彼の事務所はなるべく少数精鋭でありたいらしく、無駄に事務員などを雇っていない。

その方針はどこの事務所でも変わらないらしいく知識を持ったプロヒーローというのは貴重な人材だという。元々色々な事務所から声はかけられていたが、やはりダイナマイトの事務所が一番お給金がよかった。

話は変わるが将来の夢はヒーローだったが、私はそんなにできた人間じゃない。多くの人を救いたい、人々の平穏の為、という大層なものでは無かった。ただ1つ、母になった時に自分の子と愛するたった一人の旦那さんを守るため、ヒーローになりたかった。

だからもし私は、愛する子供や夫に｢自分と世界、どっちを取る｣かと問われたら迷わず貴方をとると答えるだろう。

唐突にこんな話をしたのにはひとつ理由があって、以前授業中爆豪と切島とこんな話をしたことがある。

♢

｢ねえねえ、もし愛する人に｢私と世界、どっちかしか助けられなかったらどっちを助ける？｣って言われたら二人はどう答えるの？｣

今日の訓練は救助訓練、7つのチームに別れるのだが私のチームは私と切島と爆豪のスリーマンセルだった。オールマイティにこなせる爆豪と、正面パワー系の切島がいれば事足りるなぁなんて思っていたし、実際余裕があったので順番を待っている間に聞いてみた。

｢急にどうしたんだよ逆先。｣
「はっ、くっだらねェ」
｢まあまあ、みんなのヒーロー観に関することってあんま聞いたことないからふと気になって。｣

切島はうーんと少し考えて、爆豪は興味なさげにモニターを見つめていた。

｢難しい質問だよなぁ、よく聞くヤツだけど自分が問われる立場になるとは思わなかったぜ。｣
｢難しいもクソもあるか、そんなの世界救った後に愛する人でもなんでもいくらでも救ったるっつうの。｣

爆豪の答えは本当に爆豪らしいと感じる。その自信にちゃんと実力が伴っているのだから、爆豪なら可能なんじゃないかとも思う。