蘇る過去 ページ50
昨日大丈夫だったかな……。結局、今日も朝からAの事を考えながら学校に来た。
教室の中にはまだ数人のクラスメイトだけ。いつも通り自分の席がある窓際まで歩くと、そこには、いつもと違う風景があった。
「え…………」
僕の机の１つ前の席の机が真っ黒になっている。
黒のマジックで塗りつぶされてる机の上。
そこは間違いなくAの席で。
教室を見渡しても、端っこの席だから気付いてないのか、それともワザと見ない様にしてるのか、誰もこっちを見ない。
もしかしてと思ってユアの姿を探すけどまだ登校していないみたいだ。
誰がこんな事。
僕はジスがついた嘘の事を軽く考えていたのかもしれない。
Aの上履きや体操服が新しくなってるのは事実で、普通なら、まだ1年の2学期に買い換えるなんてあり得ない事なのに。
とにかくこれ、どうにかしなきゃ。
僕はAの机の中に入ってる物を全部出して、自分の机と交換した。
油性で書かれてるから、すぐ消えそうもない。とりあえずは机の上にノートや教科書を置いて隠す事に。今日1日はこれで大丈夫だろ。
クラスメイト達がどんどん登校してきて、Aも「ギョンス君おはよう」と、いつも通り。
朝のホームルームが始まる時間になると、先生と別の学校の制服を着た男子が一緒に教室に入って来た。
騒ぎ出すクラスメイト達。こんな時期に転校生？
「突然だけど、今日から皆んなのクラスメイトになるチャン・イーシンだ。イーシンは中国人だけど、小さい頃に韓国に住んでて今回また、お父さんの仕事の関係で韓国に来る事になった。皆んな、仲良くしてやってくれ」
「イーシンです。よろしくお願いします」
イケメンだからか、女子がうるさい。プラス、ベッキョンとジョンデ。
Aは……、いつも通り興味が無い様で、それを見て何故か安心する僕。
そのイーシンという転校生は、僕の空いてた隣の席に座る事になった。そのせいで、休み時間になる度に他のクラスからも生徒達が沢山イーシンの周りにやってくるので、僕とAは逃げる様に教室を出る。
4時間目が終わると、お弁当を持って振り向いたAと僕が話す横にイーシンが立った。え……なに。
「君、イ・Aだよね」
Aは、チラッとイーシンを見た後、何こいつみたいな顔で僕を見る。なんでAの名前を知ってるんだろ。誰かに聞いたのかな。可愛いから話しかけてきたとか？
「僕も昔、あの街にいたんだ」
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作者名：もにか
| 作成日時：2016年1月24日 16時
