初恋の復習３ (ページ44)

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半径1メートルの君ページ44

ドクドクドク、、、

やべー。さっきから心臓の音が鳴り止まない。確か、駅までは普通だったのに。

いつもの俺なら、頭で考える前に動いてる口も今は言葉を発することに戸惑ってるのか開いては閉じてを繰り返してるだけで音になんねー。

エレベーターを待つ俺の隣にAちゃん。これ、夢じゃないよな？
エレベーターが到着して、Aちゃんの後に続いて中に入る。
7階のボタンを押すAちゃんを後ろで見守る俺。

2……3……4……5……

点灯する数字を見ながら、マンションのエレベーターってこんなにゆっくりだっけと思うくらい時間が長く感じる。

やっと7階に到着して、1番奥まで歩いた所で立ち止まったAちゃんが鞄から鍵を取り出す。

ドクドクドク、、、

いよいよ、Aちゃんの家に俺が。

「はい、ベクどうぞ」

ドアを開けたAちゃんに先に入るよう促され、足を進める。

「お、おじゃまします」

靴を脱いで廊下を進むとAちゃんの居住スペースが。うわー、ザ・シンプル。

「そこ座って」

クローゼットを開けて、脱いだブレザーをハンガーに掛けたAちゃんは俺に声を掛けた後、多分キッチンの方へ入って行った。

ドクドクドク、、、

おさまれ俺の心臓。なんでこんなにも緊張してるんだ。自分から来たいって言っといて。
好きな子の部屋に2人っきり。そんな状況今までも、あっただろ。

鞄をソファの横に置いて、言われた通りにソファに座る。あれ……テレビ無い。ギョンスとゲームしたって言ってたから、てっきりテレビゲームの事かと思ってたけど、違ったのか。

ドキドキしたまま、部屋の中を観察。前に付き合ってた子の部屋にあったピンク色の物とか、ベッドにぬいぐるみとか、友達との写真とか、漫画も雑誌も全く無い。

「おまたせ。はい、どうぞ」

Aちゃんがお茶とお菓子を持って来てくれて、俺のすぐ横に座った。

ちょっ、近い。嬉しいんだけど、今はこんなに近くにいると、俺の心臓の音が聞こえてしまいそうで、さり気なく少し横にズレる。

「ベク？なんかさっきから大人しい」

「え！？そ、そんな事ないって。ほら、このクッキー美味そう！いただきまーす」

手を伸ばして取ったクッキーを頬張る。お茶を飲む。ん……味も良く分からなくなってきた。