初恋の復習３ (ページ30)

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オオカミ少年と狼男ページ30

「ギョンス君、本当に帰っちゃうの？」

食べ終えた食器も片付けて、体操服に着替えた僕の服の袖を引っ張るAは不服そう。
この質問をさっきからもう10回は繰り返している。

「もう、あんまり遅いと怒られるから」

「そっか……」

「これ、僕の番号」

Aが洗い物をしている間に書いて置いたメモを渡す。

「さっき言った事、本当？何にも出来ない時は来てくれるって」

「うん、じゃあ帰るね」

「うん……」

寂しそうな顔を見ると名残惜しい気もするけど、ソッとドアを閉めた。

駅まで歩いて電車に乗って一息つく。今日は、色々あったな。ミンソク君がAの事好きってだって分かったし、ジスが話すユアの事。あーこれは何にも解決してないや。

そして、何よりAの大切な人が僕ってこと。

嬉しかった。本当に。

明日は土曜日だし、次に会うのは月曜日か。僕がAの側から離れなかったら、ベッキョンうるさいだろうな。

トイレの事、ジスはユア本人に聞けって言ったけど先に本当の事なのかミンソク君に聞いてみよう。

そんな事を考えてたら、あっという間に駅に着いた。

自転車に乗って家まで帰って、「ご飯作ったのに」と言う母に謝ってお風呂に入る。

タオルで髪を拭きながら部屋に戻って寛ぐ、鞄に入れっぱなしだったスマホの事を思い出して見てみると着信ありの表示。

1時間以上も前に知らない番号。誰だ？
もしかしてA？忘れ物でもしたかなと、その番号にかけ直す。

3回コールが鳴った後に繋がった先から聞こえた声は、やっぱりAだった。

「A？どうした？僕何か忘れてる？」

「ちゃんと繋がるか確認したの」

「そっか。電話気付くの遅くなってごめん」

「うん、いいよ。なんかギョンス君と電話で話してるなんて変なの」

「そうかな」

「今なにしてるの？」

「んー、お風呂出て寛いでた」

「髪の毛ちゃんと乾かした？」

「うん。もう乾いてるよ。Aはなにしてたの？」

「ギョンス君の事、考えてた」

「え！」

思いもよらない答えが返ってきて、心臓が早くなる。

「ギョンス君、電話で話してると会いたくなるのAだけ？」

「……うん。Aだけだよ」

胸の鼓動がおさまらないけど平然を装う。

「そっかー。ギョンス君、会いたい」

なんなんだ、これ。何でそんな事言うんだろ。Aが好きなのはミンソク君だろ。

「月曜日に会えるよ」

「会いたいのは今だもん」