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「ごめん、チャニョル。僕、忘れ物したから先帰ってて」
「へ！？」
教室まで迎えに来たミンソク君に喜ぶAの後ろ姿を見送ってから、僕もチャニョルと帰る事にした。
ジスから聞いた話が頭から離れなくて、チャニョルの話も全く耳に入ってこない。
駅の目の前まで来た時、ミンソク君が1人改札から出てきた。僕達には気付かずに、走っていった先にはAがいる。
楽しそうに笑いあった後、手を繋いでAのマンションの方へ歩き出した。
「ギョンス！あの2人もう付き合ってんの？」
「いや、まだの筈だけど」
「いいな〜。俺も彼女と一緒に帰りたい」
まだだって言ってるのに。ミンソク君なんで改札から出てきたんだろ。
そっか。家まで送って貰うんだ……。勝手に駅までだと思ってたけど、そうだよな。学校から駅なんてすぐだし。
家まで送って、すぐ帰るのかな。Aの事だから、上がっていってとか言いそう。
………………まさか、泊まってとか言わないよな。いくらAでも。
いや、あり得る。そんで、僕の時みたいにベッドで一緒に寝かせて……。
駄目だ。そんなん、付き合ってもないのに。僕だから我慢出来たけど、他の男は絶対無理だ。ミンソク君だって。
あの2人、付き合ってないのに、手握ったりしてるから、付き合ってないのに、そういう事するかもしれない。
Aは馬鹿だし相手がミンソク君なら絶対拒まない。駄目だ、それだけは止めなきゃ。
先に歩き出して改札を通ったチャニョルに謝って、Aのマンションへ向かう。
もう部屋に入ってたとして、どうやって割り込もう。何か理由がいるよな。
んー。あ！2個目の変わりのお願い聞くの忘れてた。これだ！
なんか白々しい気もするけど、気になってとか言っとけば大丈夫かな。
とにかく走って、マンションのすぐ側まで来ると、マンションの真ん前で抱きしめられてるAを見つけた。
あれ…………キスしてる？
位置的にはそうだ。
心臓がバクバクと跳ねる。なんだか苦しい。
来るの遅かった。いや、来なきゃ良かった。
そのまま2人でマンションに入って行くかと思いきや、手を振った後ミンソク君だけこっちに向かって歩いてくる。
僕は咄嗟にビルの間の隙間に隠れてミンソク君が通り過ぎるのを待つ。
ミンソク君が過ぎ去った後も胸のドキドキが収まらなくて僕は暫くそこに突っ立っていた。
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作者名：もにか
| 作成日時：2016年1月24日 16時
