初恋の復習３ (ページ23)

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暫く歩くと見えてきた駅。あっという間だったな。また一緒に帰りたいけど、俺、部活あるしなあ。あ、そうだ。

「こら、ミンソク内緒話すんじゃねーよ」

「もう電車来るよ。早く行こ」

「Aちゃん、じゃあね」

「Aちゃん、バイバーイ」

手を振るAちゃんに背を向けて改札を進むと、丁度俺たちの乗る電車がホームに到着した。

「ベク、作戦成功！」

「ああ。2人にさせてたまるか」

「お前らなあ～」

呆れながらも2人に続いて電車に乗り込む。

『1番線、電車が発車します。ドアが閉まりますからご注意ください』

その閉まりかけた扉の中をサッと抜けてホームに降り立つ。

ベク達が気付いた時には電車のドアは完全に閉まっていた。

ドア越しに文句を言ってるだろう2人に笑顔で手を振ってお見送り。

「作戦成功は、こっちの台詞」

Aちゃんが待ってる改札の外へ急いだ。

「Aちゃん、お待たせ！」

「大丈夫だった？」

「うん。2人のびっくりした顔、写真撮ればよかった」

ふふって笑うAちゃん。

「本当に家まで送って貰っていいの？」

「うん。行こう」

嬉しそうなAちゃんの手を握って歩き出す。可愛いな。俺の事が好きなのが良く分かるから余計可愛く思う。
言葉もかなり崩れてきてるし。

「あ。Aちゃんのお題、俺でも当てはまる？」

「え……どうして？」

「なんか、迷ってる様に見えたから」

「バレてたんですね。実はちょっと迷いました」

「ベクも？」

「うん。でも、書いてあったのが"好きな人"だったら、迷わずミンソク君を選んでます」

え。今の告白？……じゃ、なさそうだよな。

「そっか。ありがと」

あー。俺も好きなんだけどな。ベクに約束した手前、こんなに早く言う訳にいかないし。

「あ、ここです」

あっという間に着いてしまったマンションの前。まだ帰りたくないのが本音。

「Aちゃん、抱き締めていい？」

「え……」

返事も聞かずに、繋いでた手を引いて自分の胸に収めてぎゅっと抱きしめる。

駄目だ。全然足りない。

ベクがAちゃんを抱っこしたのを知ってからずっとモヤモヤしてた。

更に力を入れてぎゅっとすると、「どうしたの」と聞いてくるAちゃん。

本当俺、どうしたんだろ。Aちゃんが好きなのは俺なんだから、もっと余裕あってもいい筈なのに。

手を緩めて、Aちゃんを見ると、不思議そうな顔で俺を見ている。

「Aちゃん、目つぶって」