38 ページ38
.
言葉が、出てこなくて。
でも、沈黙が答えだった。
ミンソクは「そっか。」って、顔を伏せる。
「ルハンから聞いた訳じゃないけど分かるよ、Aを見てたら。」
「…へへ。」
やっと絞り出した声が、自分じゃないみたいだ。
笑ってもどうにもならないのに、笑うしかない。
「ギョンスにチケットあげたり、サッカー番組消したり。すんごい気遣わせたよね、ごめんね。」
自分では、普段通りにしてたつもりだったけどな。
そうだよね、いつだってミンソクにはお見通しなんだ。
「…A、少し話そうか。」
もう一度テレビにリモコンを向け、電源を切ったミンソクがソファに座った。
話そう、って。
何を話すんだろう。
再び静まり返る部屋で、何を言われるのかビクビクしていた私は、耐え切れず自ら口を開く。
「私、 ね。本当はルハン先生の家に行ったの…あの日、」
「俺が潰れた日？」
「うん、そう…。その時ね、読ませてもらったんだ…ルハン先生の、初作品。」
「…そうだったんだね。」
「す、すごいよね！ミンソクもルハン先生もさ、インターハイ目指す程サッカー上手かったなんて。もーびっくり、」
「初戦敗退だったけどね。」
ミンソクに言われて初めて気付いた。
そういえば、試合の結果のことは、聞いてなかったな。
インターハイ、行ったんだね。
凄いよ、ミングク。
「…ミンソク。」
「ん？」
身体を揺らしながら顔を向けてくれる。
彼のこういう落ち着きのない素振りは、
感情を抑えてる時。
「…ゴール、決めたの？」
馬鹿な私は、こんなことも聞いちゃうんだ。
「決めたよ。」
ミンソクの返事に、胸が張り裂けそうに苦しくなる。
決勝戦、インターハイ出場が決まったあの試合。
ミンソクはゴールを決めたんだね。
ゴール決めたら、告白するつもりだったんだよね。
まだ高校生だったミンソクの気持ちを考えるだけで、息すら上手く出来なくなる。
「…、ミンソク。」
やっとの思いで声を絞り出す。
ちゃんと笑えてるだろうか。
何て言えばいい？
残念だったね？
気持ちは伝わってたはずだよ？
きっとユジンさんも幸せだったよ？
何を言おうとしても涙が溢れてしまいそうだ。
ルハン先生の言葉の意味がやっと分かった。
いくら考えても永久に答えは出ない。
何の結末も迎えてない恋ほど残酷なものはないんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1396人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「K-POP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かぴ(プロフ) - ももぺさん» ももぺさーーん！！待ってました＼(^o^)／ 見てくれてないはずはないのに中々来てくれないから慌てたじゃないですか（笑）！痛くて苦しい胸キュン、最後まで見守ってください^ ^！ (2016年7月22日 23時) (
レス) id: 84a56e5326 (このIDを非表示/違反報告)
かぴ(プロフ) - ゆあさん» みんそくうう！ってどれだけ叫んだか！（笑）2人で泣きながら書きましたw書籍化、しようかしゅしゅちゃんw実費だねw (2016年7月22日 22時) (レス) id: 84a56e5326 (このIDを非表示/違反報告)
かぴ(プロフ) - ひつじさん» 本当にしゅしゅちゃんが書いてる通り、ひつじさん凄いねって話してたんです（笑）ちょっとそのご期待に沿えられるか心配です、完結してからのコメントも楽しみにしてます。。（笑） (2016年7月22日 22時) (レス) id: 84a56e5326 (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - ももぺさん» ももぺさん。胸キュンありましたか…？(;_;)よかった。しうぺんコンビ、ミンソク何もしてなくても胸キュンしちゃうので確認しようがなく不安でした。これからもっとももぺさんを胸キュンさせたいと思ってます！コメントありがとうございました(^^) (2016年7月22日 16時) (レス) id: 93830427c7 (このIDを非表示/違反報告)
ももぺ(プロフ) - おばちゃんの日常に痛くて苦しいほどの胸キュンをありがとうございます。物語がどんな結末を迎えるのか私の妄想力では想像すら出来ませんが、ワタシとミンソクのこの先を日々ドキドキしながら生きたいと思います。 (2016年7月22日 12時) (レス) id: 8f4e9d1338 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かぴ しゅしゅ
x他1人 | 作成日時：2016年7月10日 12時
