34 ページ35
.
次の日のレッスンに、セフンは居なかった。
「マジで、居ない…」
昨日の今日だし、当たり前の事なのに寂しく感じる。
お前、何で俺と目が合って倒れるんだよ。
俺の事下手くそ下手くそ言いながら…
何で悔しそうに顔歪めたんだよ。
時間になっても先生は来ないしルハンさんの姿も見ないし、ひたすら鏡を見て自主練に明け暮れる。
「いって、、」
気付いたら出来ていた足の裏のマメが潰された感覚。
何でも揃ってるこの部屋の棚から救急箱を取り出し、靴を脱いでヒリヒリする傷口に絆創膏を貼った。
セフンはこの部屋で、一体どれくらいの汗を流したのだろう。
「っ、ちくしょー…」
自分でもよく分からない感情に駆られ顔を上げると、丁度Aが入ってきた所だった。
意を決したような表情を見て、
何を言われるか想像がついてぎゅっと目を瞑る。
「ジョンイン、今日からトップだって。」
目を閉じたまま、深呼吸する。
「あいつは…それでいい訳？」
「私がお願いした。」
「ルハンさんに？」
うん、って頷くA。
「オッパも、そう言おうと思ってたって。」
「セフンは…」
「これは、セフンが乗り越えなきゃいけない事だから。」
「乗り越えるって、怪我の事？」
「それだけじゃなくて、全部。…セフンはね、」
セフンはね、って暫く繰り返して喉を詰まらせるA。
「ほんとに、ここしかないの。今しか、ないの。」
「…うん。」
「ダンサーの寿命って、短いでしょ？それなのに…こんな事揺らいでたらダメなの、セフンも私も。」
「………、」
大丈夫だよって、根拠のない言葉を掛けてあげたかった。
だってお前、ずっと支えてきたんだろ？
「ジョンイン。昨日、セフンとオッパを見て…変に思った？」
「え！？え、や…うーん。」
いきなり鋭い所を突かれ、しどろもどろになる。
「端から見たら少し…おかしいかもね。でも、セフンは本気でオッパに感謝してるだけ。オッパの事を本気で尊敬してる。何もなかった自分を見つけてくれて、育ててくれて有り難いっていつも言ってる。」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こうめ(プロフ) - 解説を読んでからまたもう一度物語を読み直して涙がでました。ファンにとって彼らの才能も努力も全部ひっくるめて大好きな愛の形が描かれていてとてもすきです (2016年5月4日 0時) (
レス) id: 7e852f53ef (このIDを非表示/違反報告)
toliko(プロフ) - 一言。大好きです (2016年2月18日 23時) (レス) id: cf61cbd4ac (このIDを非表示/違反報告)
呉空(プロフ) - 凄く感動致しました(;_;)解説を読んだ後には再び感動しもう一度読み返しました！かぴ様の書く作品は色んな意味で心に響く感動的な話でいつももう一度読みたくなります！かぴ様の作品凄く大好きです！いつもありがとうございます(;_;) (2015年12月21日 3時) (レス) id: 168c574e0d (このIDを非表示/違反報告)
荷娜(プロフ) - EXO-LはEXOの頑張っている姿(影)に惚れているというのが遠まわしに伝わって感動しました！あ、違ったらごめんなさい…長々とすいません！これからも応援しています！！！ (2015年12月11日 17時) (レス) id: 4d87dd0cc6 (このIDを非表示/違反報告)
荷娜(プロフ) - 社長様から読まさせていただきました！つまりEXOの不安よりもEXOの輝きが勝つ！という風に感じて、例えるのが上手で小説に吸い込まれました。結局、セフンは踊れなくなったのでしょうか？踊らないのでしょうか？ (2015年12月11日 17時) (レス) id: 4d87dd0cc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かぴ
| 作成日時：2015年11月16日 1時
