13 ページ14
.
精神的な疲れもあってか、ステージを見ながらも少し寝てしまったみたいで。
ゆさゆさ、とAに身体を揺すられ目を覚ました。
「ジョンイン。もうすぐ閉店だからセフンが出てくるよ。」
「んー…おっけー…。」
目を擦りながらボーッと小さなステージを見つめると、眩しいスポットライトと共にセフンが現れた。
その瞬間。
今まで上品に酒を嗜んでいた観客が一斉に湧いた。
立ち上がって彼の名前を叫ぶマダムもいる。
どっかの会長さんだなってレベルの初老の男性だって。
まるで全員がセフンに狂っているようだった。
さっき見たレッスンで繰り返し流れていた曲が鳴り始めると、今度は一斉に静まり返る。
誰もが一瞬だって見逃すまい、と彼に釘付けだった。
それは例外なく、俺もそうだった。
ここからあのステージまでは距離もあるのに。
眠気なんか、飛んだ。
目を逸らせなかった。
徐々に腰が浮いてしまう。
このダンスはさっきのレッスンで何度も見たはずだ。
それなのに…表情や少しの仕草でこんなにも変化するものなのか。
綺麗。美しい。艶かしい。
凄い、
単純に、凄い。
まさに彼の、彼だけの空間だ。
湧き上がるこの感情を何と呼べばいいのか。
とにかく、踊りたい。
踊りたくて仕方がない。
「A…」
「ん？」
「俺も、踊りたい。」
「…ふふ。そうだろうね。」
あの場所で、踊りたい。
最後に笑顔で客席を一周して、
目玉が飛び出る程の札束をチップとして平然と受け取るセフンから目を逸らさず、そう呟いた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こうめ(プロフ) - 解説を読んでからまたもう一度物語を読み直して涙がでました。ファンにとって彼らの才能も努力も全部ひっくるめて大好きな愛の形が描かれていてとてもすきです (2016年5月4日 0時) (
レス) id: 7e852f53ef (このIDを非表示/違反報告)
toliko(プロフ) - 一言。大好きです (2016年2月18日 23時) (レス) id: cf61cbd4ac (このIDを非表示/違反報告)
呉空(プロフ) - 凄く感動致しました(;_;)解説を読んだ後には再び感動しもう一度読み返しました！かぴ様の書く作品は色んな意味で心に響く感動的な話でいつももう一度読みたくなります！かぴ様の作品凄く大好きです！いつもありがとうございます(;_;) (2015年12月21日 3時) (レス) id: 168c574e0d (このIDを非表示/違反報告)
荷娜(プロフ) - EXO-LはEXOの頑張っている姿(影)に惚れているというのが遠まわしに伝わって感動しました！あ、違ったらごめんなさい…長々とすいません！これからも応援しています！！！ (2015年12月11日 17時) (レス) id: 4d87dd0cc6 (このIDを非表示/違反報告)
荷娜(プロフ) - 社長様から読まさせていただきました！つまりEXOの不安よりもEXOの輝きが勝つ！という風に感じて、例えるのが上手で小説に吸い込まれました。結局、セフンは踊れなくなったのでしょうか？踊らないのでしょうか？ (2015年12月11日 17時) (レス) id: 4d87dd0cc6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かぴ
| 作成日時：2015年11月16日 1時
