46 ページ46
.
「ヌナ、かと思った。最初に会った時、」
「うん。」
唇を震わせながらポツリ、ポツリと
言葉を選ぶジョンインをゆっくり待つ
「ヌナが戻ってきたみたいで、嬉しくて…」
「うん。」
「好きな人がいるなら応援しようって」
そう思ったけど、とまた顔を伏せる
「Aヌナの事、好きになっちゃった…」
「ジョンイン…」
膝の上で組まれた手に自分の手を重ねた
「…やめて。そんな事しないで。ヌナにはもう、彼氏がいるんだから。僕は応援しないといけないから、」
そうだよね。
これじゃあ私、ジョンデと同じだ。
あの時のどうしようもない胸の痛みを、今はこの子が感じていると思うと、心が張り裂けそうだった。
「ヌナ、僕ここを辞めるよ」
「…へ？」
「ホストじゃなくなったら、弟としてヌナの側にいてもいいかな。それで充分だから。」
最低だ。
ジョンインの心を無理矢理聞いたのに
何も答えない私、本当にジョンデと同じだ。
ジョンデが居る身分で
適当な事なんか言えない。
でも、でも…何か言わなきゃ。
「…大丈夫だよ、ヌナ。」
そんな私をまたエスパーのように見抜いて
優しく微笑んでくれるジョンイン
「ここまで来てくれて、嬉しかった。」
あぁ、またジョンインが離れて行く
待って、待って。
「ヌナが僕を必要としてくれるなら、僕はもう逃げないから」
「ジョンイン、」
「彼との事、応援してる」
無理矢理作った笑顔で私の腕を引き、エレベーターにぐいぐいと押し込んだ。
「大丈夫」
ドアが閉まる直前に
そう微笑んで頷いたジョンイン。
私は、何しにここに来たんだろう。
とりあえずジョンデと話さなきゃ、
そう思ってポケットから携帯を取り出す
「ん…？」
ポケットの中から出てきた二枚のお札
「っジョンイン、」
きっとエレベーターに押し込んだ時に
ポケットに入れたんだ
それは、この前店を出る前に
私がお会計としてテーブルに置いたお金だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2520人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
clk02190107(プロフ) - 凄く凄く面白いです！！続き読んで来ますね！！ (2016年3月3日 21時) (
レス) id: 29415058f0 (このIDを非表示/違反報告)
かぴ(プロフ) - あきさん» ありがとうございます！！もう〜！そんな事言われたら調子に乗っちゃいますよう！いやいやこんな素人の小説、無料でいくらでも読んでください（笑）！感想を糧にして頑張ります！！ (2015年5月8日 2時) (レス) id: 84a56e5326 (このIDを非表示/違反報告)
かぴ(プロフ) - みきりんさん» ありがとうございます！ジョンデって本当に、何なんでしょう！？いい人にも悪い人にも見えるって本当謎ですよね。うまく表現できるように頑張ります！ (2015年5月8日 1時) (レス) id: 84a56e5326 (このIDを非表示/違反報告)
かぴ(プロフ) - ゆかりさん» いつもありがとうございます！私も指がプルプルなるほど書くのが辛い場面が沢山あります(>_<)が、しかし！書かないとですね〜！ゆかりさんのようにこの作品を愛してくださる人の為に頑張ります！ (2015年5月8日 1時) (レス) id: 84a56e5326 (このIDを非表示/違反報告)
あき - 誤字がありました。大変失礼しました。かぴさんこれからも頑張ってください！ (2015年5月7日 2時) (レス) id: 246a635b02 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かぴ
| 作成日時：2015年4月22日 0時
