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「お前、本当にそれで海に入るつもりか？」
ギラギラと暑い太陽の下。
これでもか、と眉間に皺を寄せて
牙が生えてるんじゃないかと言うくらい
恐ろしい表情の社長。
「ミンソクだって水着じゃん！」
「俺はTシャツ着てるだろ。」
「私だってパーカー着てる！」
「絶対に脱ぐなよ。」
「え〜……。」
どギツイ目がピカッと光って
にじり寄って来るので慌てて返事をする。
「わかった！わかったってば！」
一応そう答えたものの、
このまま海に入る訳にはいかない。
社長がガサゴソと浮輪を取り出している間に、
着ていたパーカーをポイッと脱ぎ捨て
海へ走り出す。
「あ！おい！！」
後ろから聞こえる叫び声から逃げるように
水の中へ飛び込んだ。
「わぁー！きっもちー！！」
火照った身体にヒンヤリ冷たい水が
丁度良くて思わず感想を叫ぶ。
水面に背を付けて天を仰ぐと、
視界の端からヌッと現れた鬼の顔が太陽と私を遮断する。
「てめぇ……」
「ひっ、」
思わず体勢を戻すと
額に青筋を浮かべた社長から
脇の下に手を入れられ、フワッと身体が浮いた。
なになになになに！？
ギュッと目を瞑ると、次の瞬間また
フワフワとした感覚。
浮き輪に乗せられた私ごと
ズンズンと沖の方まで引っ張って泳ぐ社長。
「待って待って待ってー！」
叫ぶ私を無視して
足が付かない所まで連れて来られた所で
プハッと顔を上げる社長。
浮き輪につかまったままニヤリと笑う。
「このまま世界一周して来い。」
社長だって足がつかないハズなのに
浮き輪から手を離し、器用に浮いたまま手を振り
じゃあな、と一人で砂浜の方へ戻って行く社長。
「待ってー！！！」
「なんだ。」
緩やかな波に押されながら
少しずつ沖に行ってる気がする。
このままじゃ本当に世界一周することになる！！
「ごめん！」
「何がごめん？」
プカプカと浮きながら偉そうな社長。
「パーカー着るから！」
「ここでなら自由にしろ。」
「着るからー！私も一緒に連れて帰ってー！」
フン、と鼻を鳴らし
また近付いてくる社長。
来た時と同じように浮き輪を掴んで
段々と浅瀬に戻って行く。
「人が目を離した隙に勝手に居なくなりやがって。そもそもそんな貧相な身体を見せられる周りの人間の気持ちも少しは」
「ヤキモチ？」
ブツブツ呟く社長にそう言うと、
ピタっと止まった。
「あ…嘘嘘！嘘だってばー！！」
また沖に戻りかけた社長を必死に宥めて
浜に戻った私はすぐにパーカーを着た。
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halohalo976(プロフ) - 数年前に大好きで読んでいて、今でも忘れられずふとまたこの作品を読みたいなと思ったのですが...サイトに飛んだのですがページがないようで...他の作品も大好きなのでぜひとも公開して頂けないでしょうかㅠㅠ生きる活力をください..._:(´ཀ`」 ∠): (2021年10月5日 1時) (
レス) id: 66d856abd6 (このIDを非表示/違反報告)
叶多(プロフ) - サイト飛んだんですが、ページがないみたいで。すごく好きな話だったんでまた読みたいんですが(><) (2020年2月7日 2時) (レス) id: 6f8ef4ca07 (このIDを非表示/違反報告)
のんちー(プロフ) - もう更新しないのですか？続きが気になってます。 (2018年9月4日 20時) (レス) id: bf0265463f (このIDを非表示/違反報告)
Dollar - シウちゃんを愛する気持ちと一生添い遂げようと思いました。笑笑 (2018年1月2日 22時) (レス) id: 44faffd26a (このIDを非表示/違反報告)
苺於(プロフ) - 初めまして！ほんとにこのお話大好きです！もうヤバイです！(語彙力…) 受験勉強そっちのけで読み込んでしまって気づいたら半日終わってました(T_T) シウちゃんまじで好きすぎる。器のでかさ半端ないっす。もはや尊敬のレベル！かぴさんのファンになりました！ (2017年12月11日 18時) (レス) id: 759e9cc09f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぴ
| 作成日時：2015年4月3日 12時
