483 ページ3
鍵を閉めた後に振り返って室内を確認するとすぐそばにチェヨンがいた。
俯いているのでしっかりと確認できないがまだ呼吸が乱れている様子から泣いているのがわかる。
光輝はそっと肩に手を置いた。
「座って話しましょう？」
メイク用の鏡の前にある椅子に促す。
チェヨンを座らせると光輝は彼女の前に跪いて見上げた。
真っ赤な目、真っ赤な頬。
泣きじゃくった様子が見て取れる。
「そんなに泣いて・・・
どうしてもイヤなんですか？」
光輝の言葉にまた涙が溢れて零れている。
「ホンギさん(主演)は慣れておられると思うので
お任せすればきっと素晴らしいシーンになると思いますよ？」
このドラマの主演男優は子役から演技に取り組んでいる大ベテランでダンス吹替の光輝にもよくしてくれていた。
チェヨンは止まらない涙を手で拭っている。
「あぁ、ダメですよ手で擦っちゃ。
メイクがのらなくなっちゃう」
光輝がやんわりとその手を掴んで止めるのだが光輝の手の中でチェヨンの手がビクッと震えた。
「・・・
男が苦手、なんですか？」
なんとなく思ったことを口にしてみる光輝。
チェヨンが顔を背けた。
光輝は触れていた手を離す。
「どうしましょうね。
今日はもう撮影は出来ないって監督にオレから言いましょうか？」
チェヨンの肩が揺れた。
「オレ監督さん苦手じゃないんで全然大丈夫ですよ」
光輝が笑って言う。
するとチェヨンが光輝を見た。
CY「私・・・・
まだ本当の恋も知らなくてっ・・」
光輝がその真意を探るように少し沈黙して
「・・・はじめてのキスを演技でするのがいやだって事ですか？」
チェヨンがまた顔を背けた。
「ふっ」
光輝が小さく吹き出した。
チェヨンが怒ったのか顔を向ける。
「ごめんなさい。可愛いなって思ってつい」
光輝の優しい笑顔に眉間に皴を寄せていたチェヨンがポカンとした。
「オレは俳優でもないし恋ってのもよくわからないんですけど
芝居の中でホンギさんに恋をするんだから、成り行きに任せてみたらどうです？」
ぱちくりと瞬きした目から涙が一筋流れ落ちるとそっと指ですくう光輝。
「何事も経験、じゃないですか？
素敵な女優さんになる第一歩ってやつですよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
〜NAE〜(プロフ) - rikoさん» rikoさんこんばんわ＾＾ とってもありがたいお言葉ありがとうございます！！！またしても難産期突入で頭抱えながらですみません＞＜。これからもよろしくお願い致します！！ (2021年7月19日 23時) (
レス) id: ff9e46a691 (このIDを非表示/違反報告)
riko(プロフ) - 更新お疲れ様です！お話ワクワクしながら読んでいます。続きも楽しみです！ (2021年7月18日 23時) (レス) id: 7d25cd713b (このIDを非表示/違反報告)
〜NAE〜(プロフ) - Sachiさん» Sachi様、温かいお言葉ありがとうございます＞＜。頑張りますT^T (2021年7月14日 23時) (レス) id: ff9e46a691 (このIDを非表示/違反報告)
Sachi(プロフ) - 続きがすごく気になります。無理せずゆっくりでいいので、更新楽しみに待ってます。 (2021年7月13日 7時) (レス) id: 36ee1af249 (このIDを非表示/違反報告)
〜NAE〜(プロフ) - たるぎうゆさん» 美味しそうなお名前のたるぎうゆさん、コメントありがとうございます！有り難いが過ぎるお言葉ほんとうにありがとうございますT^T (2021年5月30日 1時) (レス) id: ff9e46a691 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：〜NAE〜
| 作成日時：2020年9月6日 17時
