付き人のお仕事 ページ11
数日が過ぎ、Aもすっかり韓国での日々に順応していた。
今日も元気にマネージャーに言われてメンバー全員分の飲み物の買い出しに行って戻るところだった。
「お・・・重い。さすがに１２人分は・・・腕がちぎれそう・・・うう」
大小さまざまな大きさのペットボトル12本をコンビニの袋に入れてもらって両腕に掛けている。
ビニールの取っ手が腕に食い込んで赤くなっている。
事務所正面の階段に差し掛かったところで背の高い男性がAに気付いた。
KR「よぉ」
携帯片手の様子を見ると、休憩中のようだ。
「クリスオッパ。どうしたんですか？」
小走りに近づくとコンビニの袋が揺れてAもフラフラと左右に揺れる。
KR「たまたま。ほら、貸せ」
「えっあっ ありがとうございますっ」
軽々と片方の袋をAの腕から取り上げた。
KR「そっちも」
携帯を持っていた手も差し出して二つとも持とうとしてくれる。
「大丈夫です！オッパが携帯触れなくなるし。持てますっ」
片方の袋を死守するようにさっと空いた腕で片方を支える。
KR「そうか」
特に気に留めず、クリスは階段に足を掛けた。
クリスのすぐ後ろをAはついて歩くが、リーチの差がある為小走りになる。
階段の途中で、つま先が段に引っかかった。
「わっ！」
前につんのめりそうになったAをクリスが軽々と支える。
KR「危ないな。躓くなよ重い物持ってる時に」
クリスに受け止めてもらって転ぶのを回避できたが、驚いたAが強張った笑顔を向けた。
「えへへー。ごめんなさい」
傾いた体を起こして姿勢を正す。
その様子を確認して、クリスはまた歩き出した。
KR「ほら、行くぞ」
咄嗟に掴んだクリスの手が、Aの手を握り直して手を繋いで歩いた。
「はい。(あ、手・・・) えへへ」
その手が温かくて、Aは自然に笑顔になる。
進むたびに「えへへ、えへへ」とAの声がクリスに届いて振り返る。
KR「なんだよさっきから」
キョトンとした顔のクリス。
「オッパは優しいなーって」
KR「俺が？何言ってんだ」
Aの答えに意味が解らないといった顔で答える。
「オッパは優しいです。静かで優しい。ありがとうございます」
KR「よくわからん奴」
そんなやりとりをしながら、練習室へと戻っていった。
「ただいまー！」
大きな声が練習室内に響き渡る。
JD「おかえりー。あれ？クリスヒョンも一緒に行ったの？」
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作者名：〜NAE〜
| 作成日時：2017年6月28日 17時
